フィギュアスケート男子で右足首の故障から約4カ月ぶりに実戦復帰する五輪(オリンピック)2連覇の羽生結弦(24=ANA)が20日、21日の世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)のショートプログラム(SP)に向けて、アリーナ内の練習用リンクで公式練習に臨んだ。

リンクに姿を見せると、練習観覧に訪れたファンから「あぁ~」と歓声。リンクに立つと3回転ループを跳び、早速上着を脱ぐと、音楽なしでSP「秋によせて」をイメージしながら演技開始。1度目は冒頭の4回転サルコーが空中で抜けたが、2度目はイメージ通りに4回転サルコー、トリプルアクセル(3回転半)、4回転-3回転の連続トーループを跳び、最後の決めポーズまで終えると拍手が送られた。

すると練習開始から8分後には再び上着を羽織った。スケーティングを確認し、5分後にはオーサー・コーチに上着を手渡して、フリップ-トーループの連続3回転の後に、トリプルアクセルの連続技。4回転サルコーも着氷させた。

続くループは空中でほどけて1回転。再度ループに挑むと、今度は4回転で着氷させた。さらにループに入ろうとした際には、右足に体重を乗せた状態で転倒し、会場から悲鳴がもれた。

気を取り直して問題なしを強調するように、3回転、4回転とループを着氷。フリー「Origin(オリジン)」の曲をかけての通しでは、ループ、サルコー、トーループと3種類の4回転を着氷させた。その後は4回転トーループ-3回転半-オイラー-3回転サルコーの驚異的な合わせ技で、場内が沸いた。4回転ループの成功でジャンプ締めくくると、納得するような表情でうなずいた。練習終了間際には「Y字バランス」のような仕草で、最後まで観衆を喜ばせた。

前日19日の記者会見では「試合に出られない時期はつらく『油はあるし、火もあるけど、小さな部屋の中で燃えている状態』。今は『大きな箱の中で光って暴れ回る炎』になれている」とキッパリ。順調な最終調整を経て、勝負のリンクに立つ。