女子200メートル自由形で、16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)代表の五十嵐千尋(23=T&G)が、1分57秒88の2位でリレーでの世界選手権代表に近づいた。優勝した白井璃緒(19=東洋大)と2人で800メートルリレーの派遣標準記録を突破した。ウエディング業界に勤め、日本女子のリレーを引っ張る存在。エース池江璃花子が不在の中で、代表チームをけん引するためにさらにタイムを上げる。

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大きなショックを振り払って泳いだ。五十嵐は、必死で足と腕を動かした。初優勝の白井とともに800メートルリレーのノルマをクリア。2日に400メートル自由形でV7に失敗したが、立て直した。「心配だったが、ラスト50メートルは全力で上げた。世界選手権ではリレーでも全員が活躍していけるようにしたい」と話した。

昨春に日体大を卒業して、ウエディング業界の「T&G(テイクアンドギヴ・ニーズ)」に入社。競技中心の生活を送りつつ、月1度は都内の本社や各店舗を回る。ウエディングドレスを着て「腰の部分がキュッとしていて長時間着ているのは大変」。少しでも会社の仕事を理解しようと努めている。

昨夏のジャカルタ・アジア大会ではアンカーで400メートルリレー金、第1泳者で800メートル銀に貢献。16年リオ五輪、17年世界選手権でも池江らとリレーで世界と戦ってきた。

2月12日、池江が白血病を公表した。五十嵐が「今まで璃花子(池江)に支えてもらって、私が世界の舞台に立てていることを感謝してます」とメッセージを寄せると、池江から返信がきた。

「私も千尋さん(五十嵐)と一緒に戦えることができてうれしいです。必ずまた同じ舞台に帰ってくるので、待っててください」

リレーの灯は消さない。自己ベスト1分57秒10は、現在のメンバーで最速だ。ただこの日は個人の派遣標準記録は切れなかった。五十嵐は追加選考となる5月のジャパンオープンに向けて「チームとして去年よりも遅いので1分56秒台を出せるように。個人でも出場できることが大切だと思っています」と再チャレンジを誓った。【益田一弘】