18年平昌五輪フリースタイルスキー男子モーグル銅メダリストの原大智(22=日大)が競輪の世界に飛び込む。

5日、JKAは競輪選手を養成する日本競輪学校(静岡県伊豆市)に特別選抜試験で、原が合格したと発表した。5月9日に入学式が行われ、来年3月に卒業。順当に行けば、5月に競輪選手として登録され、来年7月にデビューする。 

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東京・渋谷区生まれのシティボーイが驚きの決断を下した。スピードスケートやアルペンスキーから過去に転身した例はあるが、モーグルのメダリストから競輪の世界に飛び込むのは初。原は「素直にうれしいです。これから競輪選手になるために、スタートを切る準備が出来たと思います。やるからには誰にも負けないようにベストを尽くしたいと思います」と話した。

契機はトレーナーからトレーニングの一環として、競輪選手を紹介してもらい、ともに練習したこと。「自転車競技に強い興味を持つようになり、自分の力を試したくなった」と言う。平昌五輪で男子モーグルでは日本勢初のメダルを獲得。今年2月に開催された世界選手権でも銅メダルに輝いた。競技者として全盛を迎えている中での電撃的な挑戦だった。

5月9日の入学式後は、競輪学校で1年間は行動が制約されるため、来季はW杯に出場できない。来年3月の卒業後、順当に行けば、7月にデビューを迎える形になりそうだ。ただ「モーグルは続けたいです」と“二刀流”の構えも示す。20年東京五輪での自転車での出場については「無理です。自分もオリンピアンなので、オリンピックに出場することの難しさがどれだけ大変なのか分かっている」と話す。

競輪学校の特別選抜試験は、五輪などでJKAが認めた成績を収めた者が受験資格を得る。これまで98年長野五輪ショートトラック男子500メートル銅メダルの植松仁や02年ソルトレークシティー五輪スピードスケート男子500メートル8位の武田豊樹らが合格しており、原は8人目。また、長野五輪ショートトラック男子500メートル金メダルの西谷岳文らが競輪に転向している。

◆原大智(はら・だいち)1997年(平9)3月4日、東京都生まれ。小学6年から本格的にモーグルを始め、東京・広尾中卒業後にカナダにスキー留学。現在は日大スポーツ科学部3年。豪快なエアやターンが武器。172センチ、75キロ。