日本初の「近代5種部」を昨年創部した、通信制の埼玉・星槎国際高川口キャンパスが13日、川口市内で入学式を行った。「道産子美少女アスリート」で近代5種の19歳以下のユース世界選手権に出場した浜屋玲奈さん(15)は、24年パリ五輪の代表入りへ強い決意を語った。

北海道・根室市出身の浜屋さんは、新入生23人の代表として堂々と誓いの言葉を述べた。「これまで両親が決めたレールの上を何の疑問も持たずに進んできましたが、高校では自立と協調性を身に付けて進むべき道を明確にしたいです。最終目標はパリ五輪出場で、少しでも近づけるように真摯(しんし)に競技に取り組みたいです」。

4歳から競泳を始めた。小5の時、釧路市で行われた近代3種の大会に出場し、小学女子の部で2位に入った。「最後まで順位が決まらずワクワクした」と競技の魅力に引き込まれた。小6で全日本選手権に初出場するなど本格的に競技に取り組む中で、射撃(レーザーピストル)とフェンシングが課題となった。競技用ピストルは祖父に頼んで買ってもらい、父の会社倉庫で練習を積んだ。フェンシングは月1回程度、自宅から約420キロ離れた札幌市内の高校まで行って練習を重ねた。17年7月にユース世界選手権に出場し、初の国際大会も経験。フェンシングで敗れて、予選敗退となり「弱点を克服する」との強い思いで、同校への進学を決めた。同校には08年北京五輪フェンシング男子フルーレ銀メダルの太田雄貴氏らを育てた元日本代表監督の江村宏二氏、近代5種元日本代表監督の才藤浩氏ら豪華な面々が指導に当たっている。浜屋さんは「先生ら含め、恵まれた環境で競技に取り組めることは大きい。これまでフェンシングで悔しい思いをしてきたので、『得意種目』と言えるまで強化したい。また、先輩たちも国内外で活躍している方が多いので、切磋琢磨(せっさたくま)して自分磨きをしていきたいです」と、期待に胸を膨らませた。

練習は元病院を改修した校舎でフェンシングと射撃、市内のフィットネスクラブで競泳、運動場で陸上、陸上自衛隊朝霞駐屯地で馬術を行う。近郊には東京・味の素ナショナルトレーニングセンターもあり、半径約10キロ圏内で全5種目のトレーニングが可能となる。五輪競技でありながら知名度の低い近代5種は、練習施設の確保が困難なため自衛隊や警察官の選手が多く、民間の選手は長時間移動を苦にしている。江村氏は「世界と戦う上でジュニア世代の育成は重要。子供たちは失敗を恐れずにチャレンジして、人としても成長してほしい」と話した。

式典終盤では、フェンシング代表として国際大会などで活躍する7人の先輩学生が、フェンシングの実演を披露。世界レベルの技を見た保護者から大きな歓声が上がっていた。