レスリング女子でオリンピック(五輪)4連覇の伊調馨(35=ALSOK)が14日、東京都内で本紙の取材に応じ、来年の東京五輪行きがなくなった場合、9月にも現役引退する意向を示した。

世界選手権(9月14~22日、カザフスタン)代表をかけた6日のプレーオフでは、女子57キロ級で川井梨紗子(24)に負けた。川井が同選手権でメダルを獲得すれば、同級1枠の東京五輪代表に内定する。他階級での挑戦はせず、指導者を視野にマットを退く。

 

<伊調のリオ五輪後の歩み>

◆16年8月 リオ五輪女子58キロ級の決勝で残り3秒から逆転勝ちし、4大会連続優勝。女子選手の個人種目4連覇は全ての競技を通じて史上初だった。

◆10月 国民栄誉賞を受賞。記念品に京都の西陣産本袋帯を贈られた。

◆17年6月 ギネス世界記録公式認定証授与式に出席。五輪での女子個人種目の連続最多優勝回数4回、女子レスリングでの最多金メダル獲得数4個が認定。

◆18年3月 栄強化本部長(当時)からパワーハラスメントを繰り返し受けたとする騒動が勃発。レスリング関係者が1月に、内閣府の公益認定等委員会に告発状を提出していた。

◆4月 日本協会が設置した第三者委員会の聞き取り調査の結果、栄氏から伊調と、伊調のコーチを務めていた田南部氏に対する4件のパワハラを認定。

◆8月 2年の休養を終え、全日本女子オープン選手権(10月)にエントリー。

◆10月 復帰戦の全日本女子オープンに出場。788日ぶりの実戦で、57キロ級で3試合に圧勝して優勝。

◆12月 全日本選手権決勝で川井に残り10秒から3ー2と逆転勝ちで優勝。東京五輪代表争いでリード。

◆19年4月 リオ五輪以来の国際大会のアジア選手権準決勝で北朝鮮選手に敗戦。3位に終わる。

◆6月 全日本選抜選手権決勝で川井に4-6で敗戦。

◆7月 世界選手権プレーオフで川井に3-3の内容差で敗れる。自力での東京五輪出場が消滅。