20年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(82)が、東京五輪の「プレ大会」を視察した。

世界選手権にあたるワールドゲームズ(WG)は昨年の愛知・田原市に続いて2年連続日本開催だが、今回は11カ月後の五輪を意識したニュースタイル。本格的な音楽フェスも視察した森会長は「すごいね。思い切ってやったらいい」と五輪に新たな価値を生み出すとされる新競技に期待した。

史上最多55の国と地域から240人が集まった「過去最大のWG」は、これまでの「サーフィン大会」とは違っていた。セキュリティーに万全を期す五輪にならって、選手と観客の導線は別々。一部に選手と観客が触れあえる場所を残すなどサーフィンの「カルチャー」を守りながらも、五輪を見据えた運営だった。

音楽フェスも本格的だった。すでに、五輪では4日間の競技日程を含む8日間の「サーフィンフェスティバル」実施を決定。コンディション不良での競技中止に備えたものだが、具体的な形は見えにくかった。

大会側は五輪の「見本」として、本格的なフェスを準備。横浜・赤レンガ倉庫のサーフフェスに2日間で12万人を集めた実績のあるイベント製作会社「グリーンルーム」に依頼し、サーフィンとのコラボフェスを実現させた。飲食や物販のブースも41設置。炎天下の中、多くの若者がフェスと競技を楽しんだ。

森会長は盛り上がるフェス会場を見て「僕はよく分からない」と言いながらも「分かる人が、しっかりやってくれれば」と満足そうに言った。初めてサーフィン競技を視察し「やっている人も、見ている人も若いのがいい」。猛暑の中、競技を見ながら30分以上も立ちっぱなしで国際サーフィン連盟(ISA)のアギーレ会長と談笑。前田マヒナら日本選手も激励した。

「スケートボードやクライミングも同じだけど、新しい競技は見ていておもしろい。勢いがある」と森会長。組織委員会の会長として五輪入りに尽力した追加競技の盛り上がりを楽しみにしていた。