「合宿取りやめ」が問題になっている全日本テコンドー協会の、アスリートファーストからかけ離れた実態が明らかになった。全日本選手権8連覇中の江畑秀範(27=スチールエンジ)が19日までに証言した。

昨年8月、モスクワでのグランプリ大会で同協会の不手際で2人が出場できなかった。同協会が申し込みを怠ったことが理由だったが、江畑によると「(2人に対し)直接の謝罪はなかったです」。

協会側は、直後の強化合宿で練習前に選手たちを集め「今回は(試合に)行けなくなって申し訳ない」とひと言。すぐ「じゃあ練習、始めよう」と解散を促したという。江畑は「何の説明もなかった。(手続きのミスで試合がなくなることは)『そんなに軽いものですか?』という感じです」と振り返る。

日本陸連の右代啓祐、日本水連のユニバーシアード代表取り消しなど、手続き上のミスは他団体でもある。ただ、テコンドー協会の対応は、リスペクトに欠けるといわざるをえない。

同協会は、28人中26人が辞退した合宿を22日から選手2人で強行する。自己負担が年間約100万円もかかる月1回の合宿に参加しなければ「強化選手から外します」という姿勢は、問題が噴出した昨年の日本ボクシング連盟の騒動を思い起こさせる。江畑は「当たり前のことを、当たり前にやってほしい」と訴えている。