オリンピック(五輪)の女子個人種目で史上初の4連覇を達成したレスリングの伊調馨(35=ALSOK)の東京五輪出場の可能性が完全に消滅した。

日本レスリング協会が30日、全日本選手権(12月19日開幕)のエントリーを発表し、どの階級にもエントリーしなかった。東京五輪出場へは、9月の世界選手権で代表内定していなかった50キロ級、68キロ級で優勝するしか可能性が残されていなかった。

伊調は57キロ級で五輪出場を目指したが、7月のプレーオフでリオ五輪金メダルの川井梨紗子(25=ジャパンビバレッジ)に敗れ、その川井が世界選手権で優勝して代表内定したため、全日本選手権に出場するかどうかが注目となっていた。

<伊調のリオジャネイロ五輪後の歩み>

◆16年8月 リオ五輪女子58キロ級の決勝で残り3秒から逆転勝ちし、4大会連続優勝。女子選手の個人種目4連覇は全ての競技を通じて史上初だった。

◆10月 国民栄誉賞を受賞。記念品に京都の西陣産本袋帯を贈られた。

◆17年6月 ギネス世界記録公式認定証授与式に出席。五輪での女子個人種目の連続最多優勝回数4回、女子レスリングでの最多金メダル獲得数4個が認定。

◆18年3月 栄強化本部長(当時)からパワーハラスメントを繰り返し受けたとする騒動が発生。レスリング関係者が1月に、内閣府の公益認定等委員会に告発状を提出していた。

◆4月 日本協会が設置した第三者委員会の聞き取り調査の結果、栄氏から伊調と、伊調のコーチを務めていた田南部氏に対する4件のパワハラを認定。伊調は「日本レスリング協会がアスリートファーストの確立に尽力されることを信じており、私も協力してまいります」とコメント。

◆8月 リオ五輪後の2年間の休養を終え、全日本女子オープン選手権(10月)にエントリー。

◆10月 復帰戦の全日本女子オープンに出場。788日ぶりの実戦で、57キロ級で3試合に圧勝して優勝。

◆12月 全日本選手権決勝で川井に残り10秒から3ー2と逆転勝ちで優勝。東京五輪代表争いでリード。

◆19年4月 リオ五輪以来の国際大会のアジア選手権準決勝で北朝鮮選手に敗戦。3位に終わる。

◆6月 全日本選抜選手権決勝で川井に4-6で敗戦。

◆7月 世界選手権プレーオフで川井に3ー3の内容差で敗れる。自力での東京五輪出場が消滅。

◆9月 世界選手権で川井が優勝し、57キロ級での東京五輪が消滅。

◆11月 全日本選手権にエントリーせず。他階級での東京五輪出場もなくなる。