2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は7日、開閉会式の企画、演出チームのクリエーティブディレクター菅野薫氏(42)が、所属する電通内でのパワハラ行為で懲戒処分を受けた問題で、本人からの辞任申し出を受理したと発表した。

組織委は昨年12月上旬、電通からパワハラ事案の報告を受けた。同13日には菅野氏から同チームの活動を自粛したいと申し出を受けていたがこの日午後7時ごろ、本人から辞任の意向を受けた。

電通広報部は取材に「弊社嘱託社員(菅野薫)によるグループ社員に対する行き過ぎた言動があった。被害を受けた社員から相談があり昨年12月に厳正な処分を行った」と回答した。組織委によると、被害者は電通内の東京五輪開閉会式チームのスタッフという。

同チームは、総合統括を務める狂言師・野村萬斎氏を筆頭に8人で構成。五輪統括は映画「ALWAYS 三丁目の夕日」で知られる映画監督の山崎貴氏、パラ統括はクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が務めている。

菅野氏はプロジェクションマッピングなどデジタル技術を駆使した表現を得意とする。佐々木氏や、同チームにも名を連ねる歌手の椎名林檎や振付家のMIKIKO氏とともに、16年リオデジャネイロ五輪の東京大会への引継ぎ式を手がけた。安倍晋三首相が「スーパーマリオ」のコスプレをして登場し話題を集めた。

菅野氏の高い技術力は、開閉会式の演出面で大きな役割を担っていただけに、組織委にとっては大きな痛手となった。【三須一紀】