スーパーラグビー(SR)の日本チーム「サンウルブズ」が過去5戦全敗のレベルズ(オーストラリア)を36-27で退け、5季目で初めてのシーズン初戦白星を飾った。

前半9分、SR1年目のCTB森谷圭介共同主将(25=パナソニック)が先制トライ。19年ワールドカップ(W杯)日本代表は不在だが、早大4年のSH斎藤直人(22)ら大学生3人も存在感を示した。すでに今季限りでSRから除外されることが決定。反骨心を抱く男たちが、歴史を上書きしていく。

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博多の森に響いたのは、歓喜の叫びだった。9点差に迫られた最終盤、インゴールを背にサンウルブズの防御は続いた。SH斎藤が後ろからのタックルで相手の落球を誘い、全員で粘って迎えた80分。次々と抱き合う男たちの思いを、今季1年目の大久保直弥ヘッドコーチ(44)が代弁した。

「ファンの皆さんには『サンウルブズ大丈夫か?』という声もあったよう。この勝利を機に、我々が『寄せ集めではない』と分かっていただけたらうれしい」

試合前は苦戦が予想されていた。19年W杯日本大会の影響でトップリーグ(TL)と開催時期が重なり、日本代表は不在。南半球の強豪と戦う準備は4週間だった。それでも前半9分、連続攻撃からCTB森谷が防御の合間を走ってトライ。ボール争奪戦で引かず、相手を動揺させた。前半9点リードで勢いに乗った。

4週前の始動からスクラムやモールでの劣勢を想定し「30得点」を目標に掲げた。前サントリー監督の沢木敬介コーチングコーディネーター(CC)は「俺のことが嫌いになるぐらい走らせた」と体力強化に着手。後半、苦しい局面で全員の足が動いた。W杯直前に代表落ちしたフランカー布巻は「TLが盛り上がっていて、あまり注目されない。『見とけよ』という感じだった」。ラグビー人気の裏で重ねた練習が実った。

過去のシーズン最高は3勝。SR最終年は挑戦し続ける思いから「キープ・ハンティング」がスローガンだ。次戦は2月15日、東京・秩父宮で臨むチーフス(ニュージーランド)戦。沢木CCは「ハンティングの始まりです」と発し、号砲を鳴らした。【松本航】