13日から中断しているドイツのブンデスリーガでは、放送権収入が途絶えたことによる経営危機から所属クラブを救うべく、選手らの自主的な支援の輪が広がっています。ボルシアMGの選手らが給与の一部放棄を申し出たり、バイエルン・ミュンヘンの選手らが個人資産を削って寄付活動を行ったりしているのです。

ドイツ初の感染者が出てから約1カ月となる2月下旬まで、私が住むデュッセルドルフでは特別変わった様子はありませんでした。人々が愉快な仮装などをして大騒ぎする冬の風物詩「カーニバル」も盛り上がりました。私に言わせれば「ドイツ人が酔っぱらいに対して最も寛容になる」時期。泥酔して路上で寝る人が続出しているのにそれを誰も気に留めない。そんな不衛生とも言える状況にも人々は例年通り寛容でした。

しかしその数日後、デュッセルドルフが位置するノルトライン・ヴェストファーレン州内で初の感染者が出ると雰囲気は一変しました。殺菌のジェルやスプレー、ハンドソープなど衛生商品がすぐに店頭からなくなりました。

下戸であることも手伝い、カーニバルを楽しめない私は当初、ドイツ人の変わり身の早さをどこかシニカルに眺めていましたが、今ではパスタ類、米、ジャガイモ、パン、小麦粉といった食料品が常時売り切れ。紙類も同様で、トイレットペーパーに関しては買いだめを拒否された客が店員を殴るという事件まで起きています。「国境が封鎖される」というニュースが出た翌日の16日(月)の午後にスーパーへ行った時には野菜や果物も品薄に。

その後、野菜類の供給不足は少しずつ解消され、陳列棚に商品が残るようになりました。徐々に「買いだめしなくても大丈夫かも」と人々が気づきだしたのかもしれません。もちろん今後、事態が急変すれば、大衆心理も再び大きく揺さぶられるとは思いますが…。

趣味で通っているボルダリングジムからは4月中旬まで約1カ月ジムを閉鎖する旨がメールで届き「閉鎖期間中の会費はもちろん頂かない。でもスタッフたちも困るので、万が一可能ならば…」的な一文も添えられていました。私も決して痛くないわけではないのですが、要望通り一時閉鎖中の会費はジムに寄付することにしました。誰もが苦しんでいるこんな状況だからこそ、「困った時はお互いさま」の精神を忘れないようにしたいですね。(鈴木智貴通信員)