秋田北鷹フェンシング部の3年生剣士は、後輩たちに全国4強の夢を託した。男子は今年1月に行われた全国選抜大会北海道・東北地区予選でフルーレ、エペの団体2冠。女子もサーブル準優勝で全国選抜(3月、宮城)アベック出場切符獲得も中止となった。

全国総体(8月、大分)も開催されず、男子の菅原佑人主将(3年)にとっては、小6時に一緒に全国5位となった弟陸(1年)との兄弟最後の試合も消滅。「一緒にプレーできる最後のチャンスだった。親などにも恩返しになると思った。陸にはもっと経験を積んでもらって、自分たちの団結力や仲が良い雰囲気も引き継いでいってほしい」。自身は本格的な競技からは離れるが、出来る限りのサポートを継続予定だ。

26日に行われる県独自の代替大会に向けても、菅原佑は大声で後輩たちを鼓舞した。自らも剣を握り、鋭い攻撃を直接伝授。「選抜もインターハイも、エペ、フルーレ両方で全国ベスト4以上を狙っていた。トップ3だって狙えるチームが『さあ、行くぞ』と思えていただけに、すぐには切り替えられませんでしたね」。それでも新入生にも有望株が多く「2年生も力を付けているし、1年生はジュニアからの経験者が男女あわせて6人もいる。全国上位で戦えるメンバーだと思う」と期待を寄せた。

「次は進路の実現です」。警備会社勤務だった父の姿に憧れ、地元の安全を守る責任感に尊敬の念を抱き続けてきた。「狙うのは秋田県警。白バイ警察官の姿を見て、これだとイメージが出来ました」。公務員試験の勉強と後輩育成の“二剣流”で高校生活を完全燃焼する。【鎌田直秀】