NTT東日本が男子エイトを5分52秒23で優勝し、大会史上初の同種目5連覇を達成した。宮浦真之、荒川龍太、古田直輝の日本代表候補3人を含む強力メンバーで臨み、他チームを圧倒した。女子4人スカルは世界選手権銀メダリストの冨田千愛を擁する関西電力が優勝。男女シングルスカルは武田匡弘(関西電力)と米川志保(トヨタ自動車)がそれぞれ制した。東京五輪を目指す有力選手たちが、コロナ禍での最初の大会で存在感を発揮した。

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風が舞う難条件を、ものともしなかった。力強くフィニッシュラインを通過すると、艇上の選手たちに歓喜と安堵(あんど)の声が交錯した。8人のこぎ手と1人のかじ取り役によってチーム構成される花形種目で、NTT東日本が前人未到の5連覇を達成。林主将は「やっとスタートラインに立てたと感じている。目指すは10連覇」。さらなる高みを見据えている。

それぞれの高い意欲が強さの源となっている。後続を10秒近く突き放して圧勝した前日の準決勝終了後も、選手たちは満足しなかった。動きにぎこちなさが生じた原因を追求すべく、約40分にわたって激論。「けんかになりそうな、ぎりぎりのラインで話し合った」と古田は明かす。腹を割って意見を交わしたことで、結束がさらに固まった。

コロナ禍で6月末まで水上に出られない日が続いた。「不安な気持ちになった」と振り返る荒川だが、仲間の存在があったことで、「切り替えることが出来た」と感謝した。東京五輪に向け、まずはそれぞれが1人乗りのシングルスカルや2人乗りのダブルスカルでの出場権獲得を目指す。「エイトのスピード感が身についたことは、来年につながる」と荒川。最強軍団の代表候補たちは、来夏へ向けて勢いを加速していく。【奥岡幹浩】