南北海道で単独では15年ぶり出場の小樽潮陵が北嶺を17-14の逆転で下し、03年以来17年ぶりの道大会1勝を挙げた。17年には男子部員がゼロとなり休部状態に。同年から2度目の就任で指揮を取る成田正人監督(51)がチーム改革を進め、勧誘を受けた女子7人を含む選手28人、マネジャー5人は一丸となって復活への1勝を刻んだ。

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十勝晴れの秋空に絶叫がこだました。17年ぶり勝利を告げるノーサイドの笛に小樽潮陵フィフティーンは両手を突き上げて喜んだ。前年4強の北嶺を17-14で下しての白星。フッカー掛端太郎主将(3年)は「5人から始めて全道で1回勝てて、ラグビーを続けてきて良かった」。3年前に5人の男子部員で再開したチームは復活を印象づけた。

「執念」でたぐり寄せた1勝だ。試合終了間際の後半29分。敵陣ゴール前ラックから掛端が抜け出し決勝トライ。逆転勝ちを呼び込んだプレーを「みんなで取ったトライ」と強調した。「初の全道で緊張していた」。公式戦2戦目の浮足立った序盤をつかれ、開始6分で相手に速攻でトライを許した。前半28分にFB紺藤伊吹(3年)が50メートル激走トライでリードを奪うも、後半21分に再び勝ち越された。逆境の中で踏ん張った。

13年に小樽桜陽と合同で出場も、チームは部員不足で単独では15年ぶりの出場。17年に成田監督が再赴任して2度目の指揮を取った時点では男子部員は0人。「2人の女子部員やマネジャーが熱心に勧誘してくれて、今もマネジャーが頑張ってくれている」。現在は男子部員21人。部員勧誘時期には毎日校舎で声を張った佐藤穂美、山本千愛両マネジャー(ともに3年)は「明るく楽しい雰囲気をつくれた」。大会前には3年間の部の歴史を動画にしてチームの士気を高めた。

公立の進学校で選手のほとんどが塾に通う。かつて、練習量でチームを鍛えていた指揮官は2度目の監督就任後「メリハリがつくように」と週6日の練習を4日に減らし、練習時間も2時間に設定。ミスをしても時間が来たらメニューを終了した。磨いてきた集中力で終盤の接戦を制して勝ち上がった準決勝の相手は、2連覇中の札幌山の手だ。掛端は「強い相手だけど、少しでも食らい付きたい」。王者との戦いがこの先の未来につながっていく。【浅水友輝】