柔道女子78キロ超級で16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの山部佳苗(30)が6日、大阪・八尾市内のミキハウス本社で引退会見を行った。笑顔も見せながら、現役生活を振り返った。

引退を決意したのは、10月31日に行われた講道館杯。「けがのことはもちろんですが、試合中に自分に闘争心がなくなったと感じ、選手として終わりだと感じた」と率直に話した。また、「後輩が頑張っている姿を見て、もう自分が背中で見せなくても大丈夫だと思った」と、次の世代への期待も口にした。

現役生活を振り返り、辛かったことは「自分の弱さを受け入れること」だったという。

16年のグランドスラム・パリ大会での1回戦敗退を機に、客観的に何が足りないかを考え、自分と向き合うようになった。その際に取り組んだのが読書だった。宮本武蔵の兵法書である「五輪書」を読み、試合における心構えを学んだ。

その結果、16年全日本柔道選手権では「何が何でも勝とう。負ければ柔道人生が終わる」と自身を鼓舞。「忍耐力を発揮できた結果」と、現役時代一番思い出に残る試合になった。

今後については「これだけお世話になった柔道界に恩返ししたい」と指導者になることも視野に入れているが、まだ明確なプランはたっていない。「引退した今、一番したいことは?」という記者の質問に対し、「とにかく遊びたい(笑い)。今はコロナ禍なので、本当は海外に行ったりしたいけど、我慢ですね」と晴れやかな表情で話した。【佐藤あすみ】