昨年3位の本田ルーカス剛史(18=木下アカデミー)が涙の初優勝を飾った。

前日のショートプログラム(SP)1位で迎えた最終滑走。「首位(発進)だったからか緊張して体が硬くなって。心掛けていたことは…覚えていない」と苦笑いする心境で、冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)がいきなり回転不足となった。

続く3回転半-2回転トーループが予定構成も、ダブルアクセル(2回転半)の単発に。3本目の3回転ループも2回転になってしまった。焦る。しかし「昨年の3位から成長した実感があるし(日本スケート連盟の)強化選手に初めて選ばれた責任もあって、意識を高く持ってやってきた」という自信で踏みとどまった。

2回転半-1回転オイラー-3回転サルコーの3連続ジャンプなどを何とか決め、スピンは3種すべて最高評価のレベル4。フリーでは全体3位の129・13点だったが、合計は209・48点。SPのリードを守り、フリー1位の三浦佳生(15=KOSE新横浜)を1・77点差で振り切った。

試合後は「うれしくて、普段は涙する方じゃないけれど、気持ちがこみ上げてきました」と泣いた。浜田美栄コーチと笑顔になり、10月末の西日本選手権で右の股関節を痛めてからの日々を思い出した。同選手権のフリーを棄権した後、5日間、氷の上から離れた。「電気だったり、ハリの治療だったりをやって、氷に乗り始めてからも最初の3日間は跳べなかった。曲かけもできず、ちゃんと練習できるようになったのは10日前くらい」という。

そこから「70%くらい」という状態まで戻し、あとは、たとえ無難な滑りになったとしても「自分のすべきことをやるだけ」と集中した。

目標の全日本ジュニア王者となり、来年3月予定の世界ジュニア選手権(中国・天津)への出場資格を得た。「自分が世界ジュニアに出るのは想像もできないですし、まだ実感もないんですけど、本当に全日本ジュニアのチャンピオンということで。その名に恥じないように準備していきたいと思います」と気を引き締めた。

大舞台までに4回転ジャンプ習得を目指す。「4回転が跳べるようになっていたら、もちろん組み込んでいきたい。トーループ、サルコー、ルッツを練習しているんですけど、まずはトーループになるのかな」と見通しを語り「トリプルアクセルは2本。うち1本には3回転トーループも(連続で)付けたい」と、さらなる進化を自らに課した。【木下淳】

 

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