4種目の合計で争う個人総合で、18年世界選手権銀メダルの村上茉愛(24=日体ク)が、圧勝で2年ぶり4度目の優勝を飾った。

東京五輪のために準備した跳馬の大技「チュソビチナ」を試合で初成功させ、決勝は合計57・032点。首位だった予選と合わせて112・097点とし、後続を大きく引き離した。3位には、拠点の米国から日本代表での五輪出場を目指して帰国した新星、相馬生(うい、15)が入った。

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五輪が1年延期されたことで、日本に期待の新星が登場した。初出場の相馬が3位。予選5位から迎えた決勝は、持ち味の力強い蹴りの力を生かして躍進。「驚いてます。うれしかった。(3位に)なると思わなかった」とほほ笑んだ。

少したどたどしい日本語の理由は、東京で生まれ、1歳でハワイへ移住したから。サッカーをしていたが、6歳で体操を始めると一気に開花。16年からは競技のためにサンフランシスコに移り、17年には米国の伝統ある国内選手権の10歳~12歳部門で優勝。世代別代表にも選ばれていた。

今年3月、東京五輪の延期が決まると、本来は年齢制限で約2カ月足りず参加できないはずの扉が開かれた。米国代表として24年パリ五輪が目標だったが、両親の仕事の関係で帰国した日本で、3年前倒しの五輪を目指すことになった。

予選、決勝と演技を初めて見た日本代表の田中光監督は、「本当にびっくりしました。かなりの点数。床も跳馬も強い。安定感もある。パワフルな演技できる。表現力もあり、頼もしい選手」と絶賛した。

今後も朝日生命を拠点にして、東京を目指す。「ベストをできることやるだけ。いけたらうれしい。いけなかった残念、かな」とニコッとした。【阿部健吾】

◆相馬生(そうま・うい)2005年(平17)2月28日、東京都生まれ。あこがれは08年北京五輪女子個人総合金のナスティア・リューキン。得意種目は跳馬と床運動。156センチ、49キロ。

◆女子の五輪代表選考 東京五輪の代表枠は最大で6人。団体枠の4人は確保しており、来春の3大会(全日本選手権、NHK杯、全日本種目別選手権)で選考される。他に個人枠があり、来春のW杯で個人総合、種目別での枠獲得の可能性がある。年齢制限は延期にともない、04年12月31日から05年12月31日以前に生まれた選手に改正された。