20歳同士のフレッシュな対決となった女子組手決勝は、沢江優月(帝京大)がチームメートの島愛梨(同)を7-4で逆転して初優勝。

「小学生のころから全国大会で何度も戦ってきた相手で、ライバルでもあり仲間。お互い、思い切って試合ができた」と充実した表情だった。

この日の朝、寮から試合会場にふたりで電車で向かうさい、「決勝で対戦できたらいいね」と話していたという。その言葉どおり、両者とも東京オリンピック(五輪)代表選手を破って予選を突破。沢江は準決勝では前年覇者の斉藤綾夏を破って決勝の舞台へと進んだ。大一番を前に、「『まさか出来るとは』と2人で話していた」(沢江)と笑顔で振り返った。

24年パリ・オリンピック(五輪)では、実施種目から空手が外れることが先日正式に決まった。沢江は「残念ではあるが、自分の中で、世界一になるという目標がしっかりある。オリンピックがなくても、その目標は変わらない」ときっぱり。視線を上げたまま、空手の道を歩み続けていく。

この日はほかにも、女子組手の釜つばさ(高松中央高)が準決勝に勝ち進み、男子組手でも北代涼馬(同)が準決勝で前年優勝の五明宏人を苦しめた。男子の頂点に立ったのは21歳の崎山優成(近大)。パリへの道は閉ざされても、若い力は着々と力を付け、世界へ羽ばたく準備をしている。【奥岡幹浩】