2連覇を果たした桐蔭学園(神奈川)の藤原監督が日頃心掛けていることに、ユーモアを織り交ぜる点がある。

「大事なのは緩急。緩めるところと、厳しくするところを分けています」と言うように、これまでの取材の中でも機知に富んだ言葉が印象深い。

11月の神奈川県予選決勝で東海大相模に19-17と辛勝した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で試合勘が養えず、完成度がまだ低いチーム状況を嘆き「キャリアがないな、というシーンが多かったけど、そこはウチの伸びしろでしょ!」。他県の強豪校が敗れる状況を問われ、競馬のG1レースになぞらえ「これから冬にかけてグッと伸びるチームが負けている印象。皐月賞みたいだね」と独特の表現を交えて説明した。

全国高校大会準々決勝の東海大大阪仰星(大阪第1)と東福岡(福岡第1)戦を見た後には、名将の語り口も熱を帯びた。

21-21で迎えた後半ロスタイム、東福岡が敵陣ゴール前で反則を獲得。PGを狙えば勝利が決定的だったが、選んだのはスクラム。藤原監督は「どっちかが1本取るまで終わらない。昭和っぽさを感じてロマンがあるチームだなと感じました」と感慨深そうに語っていた。

決勝前日の会見では試合への意気込みについて、「見ている人が楽しい、やっていて楽しいゲームをしたい」と話していた。

その真意を尋ねると、「ラグビーの醍醐味(だいごみ)はコンタクトのあるスポーツ。競っていた所で互いにやり合うのが魅力の1つ。そしてボールゲームの要素があり、互いにスペースをどう取り合うか。見ていて楽しいゲームを見せたい」。

クスリと笑わせるような言い回し、言葉はいつも温かい。連覇を成し遂げた指揮官は、ラグビーへの愛が深い。【平山連】