東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が12日、都内からオンラインで職員に対する年頭あいさつを行った。例年は組織委オフィスの各職場を役員が回るが、今年は感染拡大防止のためリモート実施に切り替えた。

今夏へ延期された大会に向けて再度の年始。今月24日で組織委も、当初予定にない発足7年を迎えることになり「これで足かけ8年目になると思いますが、毎年毎年、新年のあいさつをしてきて、今年こういう形になるとは予想もしておりませんでした。この新年のあいさつが、最後のあいさつになることを期待しなければならない」と語った。

続けて、自身を巡る報道について切り出した。今月7日、緊急事態宣言の再発令を政府が決定したことを受け、都内で取材に応じた会長は、今夏の開催可否を組織委が決めることではない、立場としては準備に一切の不安なく突き進む意向を示していた。

これが伝えられ「新聞は見ないようにしていたんですが、家内はスマホというものを見ていて。ずっと見ているので何かと思ったら森の悪口がすごいと。『森は何を考えてんだ』と、菅さん(首相)よりも悪口を書かれていたそうで。森内閣でも、こんなにひどくはなかったと思います」と笑った。

続けて「コロナと大雪が大変な中、日本だけが五輪のことを語るのが、マスコミの皆さんの正義感からすれば、おかしいのかもしれません。確かに囲み(取材)では、あまり見たことのない記者もいた。『五輪をやるんですか、延期するんですか、中止するんですか』と聞かれたので(1月の時点で)延長や中止はあり得ないし、我々だけで決めるものではない」。国際オリンピック委員会(IOC)だけでなく「IF(各国際競技団体)やNOC(各国・地域オリンピック委員会)に東京都や開催県もある。皆さんで協力していくもので、組織委が決めていくものではない。何で今、そんなこと(延期や中止を)考えなきゃならんのですか、と平常心で、でも強気で申し上げたわけですが、時代を見ていないと(言われている)」と経緯を説明した。

ただ、組織委を束ねる長として「だからといって私が考え込んだり、たじろいだり、多少の迷いが出てきたとしたら(開催準備)すべてに影響してくる。進めていかないと。淡々と進めていく以外にない」と変わらぬ姿勢を示し「今年の7月で84歳になりますが、山あり、海あり、谷ありでした。けれども平々凡々とした人生を送るよりも、世のため人のため、家族のために頑張ることが人間に与えられた天命であり、試練。これを乗り越えることによって、人生の喜びを感じることができるんだろうと。いよいよ最後の年だな、五輪が終わるまでは何とか皆さんと闘っていきたいな、と思っております」と誓いを立てた。【木下淳】