24日に53歳で死去した92年バルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダルの古賀稔彦さんの通夜が28日、川崎市内の寺院で営まれた。小雨が降る中、柔道関係者ら約3000人が参列し、「平成の三四郎」との早過ぎる別れを惜しんだ。

柔道私塾「講道学舎」で苦楽を共にした同五輪男子78キロ級金メダルの吉田秀彦氏(51)は「信じられない。中学から同じ釜の飯を食べて、何でも古賀先輩のまねをしてきた。兄貴みたいだし、2人で金メダルを取れたのは先輩のおかげ…」と涙に声を詰まらせた。

古賀さんは最期まで「最強の柔道家」らしく白道着に身をまとい、黒帯を締めて棺(ひつぎ)に納まった。遺影は同五輪決勝で勝利した瞬間の写真など計3点が使われた。戒名は「金剛院献柔稔制大居士」(こんごういんけんじゅうねんせいだいこじ)。中量級で90年全日本選手権準優勝など柔よく剛を制すから剛、柔、制。金メダルの金、名前から稔を取り、「日本柔道に貢献された」との意味がある。

高校時代からの戦友の小川直也氏は「これでお別れと思うと言葉が出ない。『ばかやろー』って感じだよ…」と声を震わせた。全日本柔道連盟の山下泰裕会長は「残念でならない。まだやり残したことがたくさんあったと思う」と悼んだ。

展示スペースには、柔道着や金メダル、家族写真などのほかに、国際オリンピック委員会のバッハ会長からの追悼メッセージもあった。葬儀・告別式は29日に営まれる。【峯岸佑樹】

◆主な参列者 山下泰裕、吉田秀彦、小川直也、北田典子、金野潤、中村兼三、山田利彦、園田隆二、泉浩、中矢力、海老沼匡、梅木真美、北島康介、岩崎恭子(順不同、敬称略)