日体大の入学式が3日に東京・世田谷キャンパスで開かれ、53歳で死去した92年バルセロナオリンピック(五輪)男子71キロ級金メダル、古賀稔彦さんが「功労スポーツマスター」の称号を受けた。この日は長男の颯人さん(23=慶応高教諭)が出席。「平成の三四郎」と呼ばれた亡き父の代わりに賞状や記念品を受け取り、改めてその偉大さをかみしめていた。

功労スポーツマスターは、日本スポーツ界の発展に著しい貢献をした人に授ける称号で、受賞者は13人目。京都・伏見工(現京都工学院)時代に花園制覇をした高校ラグビーの名将、山口良治氏らが名を連ねている。式典を終えた颯人さんは「お世話になった日体大から父が名誉ある賞を受けて大変光栄です」と感謝した。

生前の父について颯人さんは「本当に最後の最後まで病気と闘っていた」と振り返り、亡くなる前日に強く手を握ってくれたことを印象的なことに挙げた。「(父は)試合で勝ったり負けたりする中でも、いつも次に向けたアドバイスをくれる。怒られたことはなく、いつも優しかった」。反面教師にすることはあったかと問われ「ない」ときっぱりと答え、ここまで育ててくれたことへの感謝を惜しまなかった。

父の背中を追い掛けながら、今後も柔道家としての道を歩む。「目の前の1戦1戦に集中して、さらに上を目指して戦っていきたい」と力強く語っていた。

【平山連】