「りくりゅう」こと、日本の三浦璃来(19)木原龍一(28=ともに木下グループ)が自己ベストを更新する快心の演技を見せた。

65・82点。これまでの64・37点を1・45ポイント上回ったのを確認すると、右手をガッチリ組んで喜びを分かち合った。

3月の世界選手権(ストックホルム)で10位の好成績を収め、第2グループ入りした今大会。幸先よく冒頭のツイストを決めた後、続く3回転トーループは三浦が転倒した。しかし、切り替えてスロー3回転ルッツを美しく決め、リフトもコンビネーションスピンもステップシークエンスも最高評価のレベル4を獲得した。

SP「ハレルヤ」を演じ切り、6カ国対抗で全体3位と好発進。木原がミスした三浦の頭をポンポンとたたいてねぎらい、待っていた結果は、世界選手権を上回る自己ベストの高得点だった。今大会、主将を務めている木原が責任を果たして17日のフリーへ進んだ。

演技後、オンラインで行われた報道陣との一問一答は以下の通り。

-SPを終えて

木原 試合前に、特に2人で心配していることはなかったんですが、少しミスが出て。得点どうなるかなと思っていたら、まさかのベストで。すごくサプライズでした。

三浦 レベルがどんどん取れていたので(高得点の可能性はあった)。ただ(さらに伸ばすためには)自分のミスが響いたかなと思います。

-大会に向けての準備は

木原 世界選手権の後(カナダから)コーチが来られなかったので、リモートのレッスンを受けて。そこで、しっかり指示をいただけたこと。それを実行できたことが良かったと思います。

三浦 世界選手権の後の2週間、リモートだったんですが、合宿みたいに毎日毎日ハードな練習をしてきたので。それが良かったのではないかなと思います。

-(カナダ・オークビルを拠点としており)久々の日本だった

お客さんの前で演技するのは1年以上ぶりで。(19年12月の)全日本選手権以来。ホントに、応援していただけるありがたさをすごく実感しました。

三浦 声援…はダメなんですよね。今回は手拍子だけだったんですが、それでも温かみを感じられて。いい演技をすることができました。

-17日のフリーへ

木原 世界選手権で悔しい思いをしたので、それを返せるように頑張りたい。

三浦 少しでも、チームジャパンの力になれるように。明日も頑張りたいと思います。

-ジャッジのフィードバックなど世界選手権から学んだことは

木原 今までチームではやっていたんですけど、基本的には試合の中でやっていたレベルチェック。それをやってもらって、まだまだ完璧に取り切れてないことが分かったので。ここに来る前に修正できたかなと思います。

-応援席にはコーチの顔写真入りのうちわがあった

木原 そうですね(笑い)。先生たちは今回、来られないので。

-19-20年シーズンに結成してから、決して多くの試合に出られているわけではない。その中で精神面は置いておいて、技術面での、良さ、やりやすさ、長所をお互いに評して

木原 三浦さんは瞬発系が強い。瞬時の動きができるので、スローだったり、ツイストであったりの相性がいいなと思います。

三浦 リフト。この2年間、転倒というか落とされたことが1度もなくて。「絶対に落とさないから」と言ってくれていて。

木原 それ、精神面でしょ(笑い)。

三浦 (笑みをこぼしながら)精神面になってしまうんですけど、本当に信頼できるからこそ、うまくかみ合うんだと思います。

-スピンが素晴らしい出来だった。どのような練習をしているのか

木原 最初のシーズンは全く持って回転ピッチが合わず、試合でもマイナス評価を受けていたんですが、コロナ禍で日本に帰れなくなり、カナダでずっと練習していました。コーチから「ツイストやリフトは才能かもしれないけど、スピンは努力だ」と言われ、時間さえあれば練習していましたね。

三浦 ひたすら、ひたすら、やってましたね…(笑い)。

17年以来2大会ぶり3度目の優勝へ、逆転なるか。ペアのフリーは17日午後3時15分スタート。「りくりゅう」は同54分ごろの登場予定となっている。【木下淳、松本航】