来年2月の北京五輪に向けたカーリング女子日本代表決定戦が10日、北海道稚内市みどりスポーツパークで開幕し、今年の日本選手権を優勝した北海道銀行が、18年平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレを延長戦の末に7-6で下し、白星スタートを切った。

第7エンド(E)を終えて3-5と2点リードされていたが、スキップの吉村紗也香(29)が正確なショットを決めて追い付き、競り合いを制した。大会は3戦先勝方式で行われ、勝者は12月の北京五輪世界最終予選(オランダ)へと進む。

 

延長までもつれた熱戦のなかにあって、吉村は最後まで冷静さを保っていた。延長11エンドの最終のストーン。サークルの中心付近へときっちりドローショットを決めて勝利をつかみ、「試合を通じて落ち着いていた。最後はプレッシャーがかかったが、次につながるショットだと思う」。3時間を超える激闘を制し、チームメートらと抱き合って喜んだ。

3戦先勝方式のシリーズで、大事な初戦を逆転勝ちでものにした。追いかける展開となっても、終盤の大事な局面で、吉村は次々と好ショットを繰り出して流れを引き寄せた。20年秋にチームのメンタルコーチに就任した元日本ハムヘッドコーチの白井一幸氏から掛けられてきた言葉は「前後際断」。済んだことををくよくよ考えず、悔いが残らないよう全力を尽くすという意味を持つ。ミスをしてもすぐに切り替え、前向きな気持ちを失わない。吉村は「今までになくリラックスしていた。今季をいい状態で迎えられている」と充実感を口にする。

翌日以降の試合に向け、「仲間と自分を信じて思い切ってプレーするだけ」。平常心を保ち、あと2勝をつかみ取る。【奥岡幹浩】