昨季ジュニア3冠の女王で、今季シニアに転向した松生理乃(16=中京大中京高)が69・48点で首位発進した。

仏シャンソン歌手エディット・ピアフの「恋は何のために」を演じ、開始直後から笑顔を振りまく。3回転フリップ、ダブルアクセル(2回転半)と最後の3回転ルッツ-3回転トーループの2連続ジャンプを全て決めると「ある程度は満足してもいいのかなという点数をいただけた。目標としては70点を超えていきたい」と、理想は高く、安定感たっぷりの演技を振り返った。

昨季は全日本ジュニア選手権、インターハイ、冬季国体を総なめ。飛び級で出場したシニアの大会ではグランプリ(GP)シリーズNHK杯3位、全日本戦選手権で4位と驚かせた。シニア転向と同時に22年北京オリンピック(五輪)代表選考の有力候補に躍り出た形だが、謙虚な高校2年生は「あまりオリンピック、オリンピックと考えず、1つ1つ目の前の試合を戦って大舞台につなげていけるように頑張りたい」と慎重に、しかし口調はハッキリと意気込んだ。

高まる周囲の期待は感じざるを得ない。「それで五輪を現実的にというか、意識するようになってきた部分は多少ありますが」としつつ「期待や応援を力に変えて大きな舞台を目指せれば」。全日本、そして北京五輪につながるブロック大会の初戦で、まずは持ち味の安定感を披露した。

一方で26日のフリーでは攻める。トリプルアクセル(3回転半)を投入予定。練習では、まだ1度しか成功していないという大技だが「右足で立てる回数は増えてきたかなと思います。明日もクリーンで降りるのは難しい気もしますが、取り入れたい。高い点数を求めていくことも大事になってくる」とハイスコアにチャレンジする。【木下淳】