16年世界ジュニア選手権女王の本田真凜(20=JAL)が、親友で東京オリンピック(五輪)卓球女子の金銀銅メダリスト、伊藤美誠(20=スターツ)から受けた刺激を口にした。

約1年ぶりの公式戦となる今季初戦を終え、報道陣から今夏の伊藤の活躍について質問されると「卓球は全試合、見ていたんですけど、競技をしている時の美誠ちゃんは本当にすごくて」と振り返った。

16年に国立スポーツ科学センター(JISS)の研修会で出会い「普段、2人でいる時は競技の話はしないんですけど」と、以降はプライベートでも互いに支え合ってきた。同じ競技者として、友として。尊重し合う関係で「試合を見に来てくれた時に、すごく支えになる言葉とか心に残る言葉をたくさんかけてくれるので感謝しています。五輪が終わってから会えていないんですけど『おめでとうございます』と言いたい」と祝福のメッセージを贈り返した。

その「支えになる言葉」について、真凜は五輪期間中の7月に本紙企画で明かしている。

真凜「私の全日本選手権を見に来てくれた時、うまくいかず(15位)試合直後に会うと『もう嫌や~』と本音が出ました。その時に『他の人のことを思って演技しなくていいんじゃない?』と言われました。周りは『大丈夫だよ。頑張って』と励ましてくれますが(伊藤からの)『周りをがっかりさせちゃう、じゃなく、自分ががっかりする、と考えを変えた方がうまくいくんじゃない?』という言葉は新鮮でした。注目してもらうと、考えることが増えます。美誠ちゃんの発想は、とても参考になりました。良くないことは良くないと言ってくれます」

真凜も、ジュニア時代に世界の頂点に立ったスケーターだ。伊藤の快挙に刺激を受けた効果もあるのだろうか。今季は練習の量も質も上がっているという。昨年の今大会SPはジャンプ3本のうち2本が無得点に終わったが、この日はダブルアクセル(2回転半ジャンプ)が両足着氷と重度の回転不足になった以外はクリーンに着氷。3回転トーループ-2回転トーループの2連続ジャンプも3回転ループもきれいに決めた。

昨年は19・69だった技術点が25・20点と復調するなど、今季初のSPは53・58点で7位。昨季の9位から順位を上げて翌9日のフリーへ進出した。【木下淳】