9月の杭州アジア大会(10~25日、中国)が来年を視野に延期されたことを受け、柔道男子日本代表の鈴木桂治監督(41)が8日、東京・講道館で取材に応じた。

アジア・オリンピック評議会(OCA)が6日の理事会で決定。男子は東京オリンピック(五輪)金メダルの大野将平、ウルフ・アロンらを代表に選出しており「このゴールデンウイークに行った(奈良・天理)合宿で選手とスケジュール調整をしたばかり。24年パリ五輪に向けた強化計画を変更せざるを得ない」と受け止めた。

前日7日には、金野潤強化委員長とともに女子代表の増地克之監督が「もう1戦、代替大会を与えてあげたい」との私見を述べていた。

鈴木監督も「アジア大会に匹敵する規模の大会は、現時点では他にない。まだ何も決まっていない」とした上で、ザグレブ、ブダペスト、ウランバートル、トビリシで行われる国際大会が代わりの候補になる可能性は示唆した。

この日は東京・講道館で強化選手選考会を視察。金野委員長、前監督の井上康生強化副委員長と意見交換した。大会の開催可否には抗えないため「評価をする場を変えることが(延期に伴う)大きな変更点になるのかな」と見通しを語り、不安になっているはずの選手に対しては「近日中にオンラインでミーティングを行う予定」と明かした。

大会の延期が発表された後、すぐ「さぁ、現場がどう動くか! しかし、なかなか一筋縄じゃいかないですね!笑」とツイートしていた鈴木監督。合宿までコーチらと案を練り、選手とコミュニケーションを取っていた。

来月以降、さあ海外遠征へ、とスイッチを入れようとしていた矢先だっただけに「選手の時間も所属の時間もいただいた後の知らせでしたので『何だよ』という思いはありました」と素直に打ち明けつつ「予定通りは難しいな、前向きにとらえるしかないな」。監督に就いて早々の試練に、あらためて対処の連続が必要な職務だと実感していた。【木下淳】