新潟県高校総体は21日の女子サッカーから幕を開ける。6月4日から始まるレスリングでは、U17アジア選手権(6月19日開幕=キルギス)のグレコローマンスタイル80キロ級代表の渡辺虎汰郎(八海3年)がひと暴れする。県高校総体はフリースタイルで行われるが、国際舞台の前哨戦として圧勝して弾みをつける。

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試合用ウエアの上に着込んだグレーのTシャツの背中が渡辺の汗で色濃くなった。練習で対峙(たいじ)するのは全日本ジュニアのグレコローマン110キロ級で3位に入った宮崎祐貴彦(2年)。渡辺はすでにU17アジア選手権モードでグレコローマンスタイルの練習に専念している。体重30キロ差の練習パートナーは海外選手のパワーに対抗するのにピッタリの相手だ。「宮崎は力が上なのでスパーリングはいい練習になる」。コロナ禍で対外練習が制限される中、できる限りのことはやっている。

U17の年代別代表ながら、初の日本代表入りだ。3歳からレスリング一筋だった渡辺は「『JAPAN』をつけるのは小さい頃からの憧れだった」と言う。JAPANの大先輩で01年世界選手権(ブルガリア)代表の関川博紀監督(49)は海外のマットを初経験する愛弟子にこう助言した。「海外には技術のある選手、パワーや柔軟性のある選手などタイプはいろいろ。ちょっとしたミスが勝敗を分ける」。

代表招集日は6月13日。6月4、5日に行われる県高校総体でインターハイの出場権を得てから出発する。心残りは昨年団体準優勝の北信越総体(6月18、19日=長野)で雪辱する機会を失ったこと。それでも渡辺には別の大きな目標ができた。初の国際試合で上位進出だ。「出場するだけではダメ。出るからにはメダルを取りたい」と力強かった。【涌井幹雄】

◆渡辺虎汰郎(わたなべ・こたろう)2005年(平17)1月19日生まれ、栃木県宇都宮市出身。レスリングは3歳から栃木のサンダーキッズで始める。神奈川・南毛利中出。3月の全国高校選抜80キロ級は8強。174センチ、76キロ。血液型A。