1回戦で、フルセットの逆転負けを喫した世界105位のダニエル太郎(29=エイブル)は、「久しぶりにすごい苦しい負けだと感じている」と、悔しがった。しかし、6月27日に開幕するウィンブルドンの騒動には、手厳しい持論を展開した。

ウィンブルドンの主催者は4月、ウクライナへの軍事侵攻を理由に、ロシアとベラルーシの選手の出場を認めないと発表した。ダニエルは「上からのパワーがある人たちからの影響で、ウィンブルドンが政治的に正しいような動きをする」と、英国政府の圧力を指摘した。

この決定に対し、プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)の世界ツアー統括団体と、国際テニス連盟(ITF)は20日、ウィンブルドンに世界ランキングのポイントを与えないことを決定した。

ダニエルは「わざと自分たちから、こういう問題をつかみに行っている」と、かき回さなくていい問題を、わざとかき回して騒動にしていると感じているようだ。「その代償を払うのは選手たち」と訴える。

もちろん、ダニエルも「戦争は最悪。人が死なないことが一番」と、ロシアの侵攻は手厳しく非難する。ただ、ウィンブルドン開幕まで約1カ月と迫っているが、「世界で一番大きな大会が、まだ、どうなるか分からないというのは、プロフェッショナルじゃない」と、主催者や関係団体を批判した。

世界ランキングのポイントがつかなくなると、ウィンブルドンは壮大な非公式戦になる。しかし、賞金が下がらない限り、「多くの選手は出ると思う。僕も出る」と、出場への意思は示した。

◆全仏オープンテニスは、5月22日から6月5日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドとテニスワールドでライブ配信される。