朝ご飯を“もう1度味わう”?

12月開幕予定のラグビー「リーグワン」で1部に昇格する三菱重工相模原ダイナボアーズが、夏の猛練習で下克上を狙っている。5日は神奈川・相模原市内でFW、BKに分かれて練習。昨季ディフェンスコーチを務めたグレン・ディレーニー新ヘッドコーチ(48)は「コーチとして『ここで頑張ってほしい!』というところで選手たちは反応してくれている」とたたえ「(胃の内容物が逆流することで)朝ご飯を、もう1度味わいそうな選手もいる」と練習の強度を表現した。

昨季は5月28日にNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安(現浦安ディーロックス)との入れ替え戦を制し、1部昇格が決定。新シーズンは12月開幕ながら、始動日は7月18日に設定された。元ニュージーランド代表ロックのジャクソン・ヘモポ(28)らにも特例はない。汗をたっぷりかいたヘモポは「(母国へ)帰ったのは3週間。3年ぶりの日本の夏。メッチャアツイ」と笑わせ「1部に上がれて練習のモチベーションも高い。日本語も勉強したいし、問題ないよ」とほほえんだ。

選手の体調は厳格に管理された上で、昨季よりも練習の質は高まった。一例が「オフサイドタッチ」と呼ばれるグラウンド1面を使ったゲーム。ボールを前に投げることが許されており、相手インゴールに持ち込めば得点となるが、その際に攻撃側のチーム全員がインゴール近くの定められたエリアにたどりつかなければ“罰走”が待っている。

173センチ、103キロで慶大出身のプロップ細田隼都(27)は「毎日、乗り切るのに必死です」と苦笑いしつつ「ベテランも外国人選手も全員参加で1つ1つのことを全力でやっている」と一体感を強調。「オフサイドタッチ」の際にもGPSで距離やスピードが管理され、全員が集中力を切らさず走るため「試合でターンオーバーが起きた際、全員で攻守を切り替えられる」と実戦に生きるという。

目指すは2027年のリーグワン1部優勝。1部トップレベルのチームと比べ、知名度の高い選手が多いとはいえないが、SH岩村昂太(28)は「チャレンジャーで失うものはない。番狂わせを起こし、ダークホースになりたい」と言い切った。充実の昇格1季目に向け、走って、鍛えて、相模原から新風を送り込む。【松本航】