ラグビー日本代表(世界ランク10位)が歴史的快挙を目指す。日本協会は12日、日本が10月29日に東京・国立競技場でニュージーランド(NZ)代表「オールブラックス」(同5位)とのテストマッチに臨むと発表した。

過去6戦全敗、95年W杯南アフリカ大会では145失点を喫した難敵だが、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC=52)は母国である強豪から「勝利を奪いたい」と断言。23年W杯フランス大会へ最高の試金石となる。

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日本代表も、ファンも、待ちわびた知らせが届いた。午前11時、4年ぶりとなるNZ戦開催が発表された。書面にはジョセフHCの強い決意が記されていた。

「我々は以前よりも良いチームになっており、ベストな状態で試合に臨んで、オールブラックスから勝利を奪いたいと思います」

自らも現役時代、伝統の黒のジャージーを着て、20キャップを重ねた。16年の日本代表HC就任後、母国との対戦は1度。4年前に10トライを献上し、31-69で敗れた。日本も5トライと健闘したが「ミスで攻められ、オープンプレーの攻撃にもフラストレーションがたまった」と振り返る。今春から夏にかけてのテストマッチではSO松田力也(埼玉)、SH流大、FB松島幸太朗(ともに東京SG)ら主力の多くを故障で欠いた。秋の代表スコッドは約50人を想定。7月には藤井雄一郎ディレクターが「選手によると思う」としつつ、主力の復帰について「もちろん」と断言した。

一方、NZも敗戦は許されない。今月6日には南半球4カ国対抗で南アフリカに敗れ、テストマッチ3連敗。8日発表の世界ランキングは同国史上最低の5位に転落した。国内では批判が渦巻くが、W杯では最多タイの優勝3度を誇り、テストマッチでは唯一全ての対戦相手に勝ち越す王国。日本のサントリー(現東京SG)で活躍したSOボーデン・バレットら世界的スターを数多く擁し、日本にとっては依然、高い壁だ。日本戦後には欧州遠征を控え、弾みをつける戦いでつまずくわけにはいかない。

W杯フランス大会まで9月8日で1年。日本もNZ戦後、欧州でイングランド、フランスに挑む。ジョセフHCは「このようなレベルの試合こそ、来年のW杯に向けたチーム強化のために必要」と強調した。強豪との対戦で満足する時代は終わっている。【松本航】

◆18年11月の日本-NZ 日本は3点を追う前半4分、ロックのアニセのトライで逆転。再逆転を許した後の同33分にはNO8ツイのトライ、SO田村のゴールで10点差に迫った。前半を19-38で折り返したが、後半も立て続けにトライを献上。相手に計10トライを許し、31-69で敗れた。味スタには観衆4万3751人が訪れ、今年7月のフランス戦(国立、5万7011人)に更新されるまでテストマッチ国内最多記録(19年W杯を除く)だった。