楽天ジャパンオープンが戻ってきた。男子テニスの世界ツアー公式戦で、今年開催50周年の節目を迎える楽天ジャパンオープンが3日、東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園で幕を開ける。新型コロナウイルスの感染拡大と厳しい入国制限で、20、21年と中止を余儀なくされた。しかし、関係各所の尽力で、今年は19年以来の開催にこぎづけた。

現在、国内でただひとつの男子世界ツアー公式戦だ。70年に創設された現行の世界ツアーに、乗り遅れまいと、アジアで日本、香港、フィリピンの3カ国・地域が共同で、72年にアジアパシフィックサーキットを開催。日本は、それまであった朝日招待大会を発展解消させ、第1回のジャパンオープンとして田園コロシアムで開催した。決勝では、坂井利郎が九鬼潤をストレートで下し、記念すべき初代チャンピオンとなった。

しかし、この大会は招待大会だったため、ツアー公式戦の認定を受けられず。73年から、正式なツアー大会として再スタートした。73年は、ジャパンオープン前週に大阪オープンが靭テニス公園で行われ、2週連続で、国内でツアー大会が開かれた。

そのジャパンオープンも、「する」テニスと、「見る」テニスが、共生しにくい日本では、なかなか観客動員が伸びず。潮目が変わったのは、00年に日本テニス協会会長に就任した盛田正明氏の「ジャパンオープンを日本テニス界のお祭りにしよう」というかけ声だった。そして、そこに錦織圭が登場した。

99年に1週間の合計観客数が約2万5000人まで落ち込んだ。会場の外のコートは、プレーする愛好家で満員だったが、大会の決勝は空席が目立った。しかし、00年から徐々に上昇カーブを描きV字回復。09年から現在の「楽天」が冠スポンサーとなり、16年には約8万3000人と、99年の3倍半ほどに観客動員数が増えた。

出場選手だけに頼らない大会運営。来場するだけで、テニス以外にも多くのアトラクションを楽しめる会場づくりに奔走し、その意思は、現在まで脈々と受け継がれている。今年、目玉だった東京オリンピック金メダルのA・ズベレフ(ドイツ)と錦織の2人が、ケガで大会前に欠場を公表した。しかし、まだ本戦が始まらない10月1日、予選初日の観客数は4000人以上。3年ぶりの開催を待ちわびたファンが、再び有明に戻ってくる。

◆楽天ジャパンオープンは、10月3日から9日まで、WOWOWで全日生中継。WOWOWオンデマンドでも同時ライブ配信される。