日本(世界ランク10位)がイングランド(同5位)に完敗した。23年W杯フランス大会1次リーグ同組で、過去9戦全敗の強豪と4年ぶりに対戦。熱気あふれる超満員の敵地で、かつて日本を率いたエディー・ジョーンズ監督率いるラグビーの母国にのみ込まれた。

イングランドは選手、観客が一体となり、開始から全開だった。キックオフ数十秒後から自然発生したのは応援歌「スイング・ロー・スイート・チャリオット」。地元ファンの大合唱に包まれ、勢いを増す相手に対して劣勢に陥った。

前半5分にPGで先制され、同10分にはスクラムで反則。自陣に侵入を許すと、12分にモールを押し込まれ、FBスチュワートにトライを献上した。相手のシンビン(10分間の一時退場)で数的有利になりながらも、前半で6-24。6日に本拠でアルゼンチンに敗れ、本気のイングランドに主導権を握られた。

日本も確かな自信を胸に英国に乗り込んだ。10月29日にはニュージーランド(世界ランク3位)に31-38と善戦。故障者も出さずジョセフ・ヘッドコーチは「相手はフィジカルを前面に出してくる。それに対し、我々のブランドを出して行く。プレッシャーをかけられれば、チャンスがある」と見据えていた。セットプレー、空中戦、ボール争奪戦…。フィジカル勝負で劣勢に陥り、序盤でリズムを作ることができなかった。後半も途中出場のSO李承信(神戸)が約40メートルのPGを決められず、8分にトライで先手を奪われた。地に足をつけるチャンスも、引き寄せられなかった。

次戦は20日、W杯キャンプ地のトゥールーズで過去1分け11敗のフランス(同2位)に挑む。敵地で強豪を、いかに日本の土俵へと引きずりこむのか-。真っ向勝負で知った教訓を、生かす場はすぐにやってくる。(英ロンドン=松本航)