青森のために戦う。チーム創設10周年を迎えたB2青森ワッツは今季、ヘッドコーチ(HC)と選手10人が入れ替わり大きく生まれ変わった。日刊スポーツ東北版は、昨季に引き続き主将を務める下山大地(33)にインタビュー。青森県出身で、青森でのプレーはbjリーグ時代も含めて今季で9季目。生粋の青森人がチームをプレーオフ(PO)進出、夢のB1へと押し上げる。【取材・構成=濱本神威】

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昨季は悔しい1年だった。一昨季から選手8人とHCを入れ替えた新体制で臨んだが、外国籍選手がそろわなかったりHCが交代したりと紆余(うよ)曲折。終わってみれば、一昨季の7勝51敗を下回る5勝47敗で2季連続のB2総合最下位。下山自身が3点シュート(3P)成功率35・7%をマークしリーグ10位の成績を残すも、チームはB2リーグワーストの30連敗を記録するなど、1勝が遠かった。下山は昨季を振り返り、「やっていて難しかったです」と言葉を絞りだした。

成績で見れば悔しくも苦しくもあった1年だが、それでも下山は「僕にとって必要なシーズンだった」と振り返る。「課題がたくさん見えた。チームの前に自分自身がバスケット選手として成長しなきゃいけないと思いました」。決意を新たに、オフシーズンは一から自分を見つめ直し、鍛えぬいた。シューターとして得点できなくてもチームを勝たせられる選手になるために、ディフェンス向上に着手。当たり負けしない身体を作り、フットワークを磨いた。「自分のバスケ人生をかける覚悟を持って、今までで一番と言えるぐらいやってきました」と下山。今季はすでに昨季を超える6勝を挙げているが、そのすべてが相手を70点以下に抑えた堅守での勝利。鍛えてきたディフェンスは確実にチームの力となっている。生まれ変わったチームと同様、主将も今までとは一味もふた味も違う。

チームは15試合を消化して6勝9敗。今月5日にはB2通算100勝目を挙げるなど、負け越してはいるものの15試合で1勝しかできなかった昨季と比べれば、ブースターが喜ぶ機会ははるかに多い。下山は「皆さんが盛り上がって喜んでくださって、やっていて幸せです」と笑顔。9季目だからこそ、支えてくれたブースターへの思いも人一倍だ。幸せをかみしめながらも「過去2年、悲しい思いをさせてしまった。もっともっと喜ばせたい」と下山。まだまだ満足はしていない。チームが掲げる目標は創部初のPO進出。下山は「(皆さんは)僕たちがPOに出るのを信じてついてきてくれている。苦しい時でも支えてくださった皆さんをPOに連れて行きたい」と力を込めた。もっともっと、ブースターとともに喜ぶため、青森が捲土(けんど)重来を期す。