6カ国で争う世界国別対抗戦は開幕を翌日に控えた12日に会場で公式練習が行われ、アイスダンス日本代表の村元哉中(30)高橋大輔(37)組(関大KFSC)が午前、午後の氷上練習を終えた。

午前の曲かけで滑ったのはフリーダンスの「オペラ座の怪人」だった。高橋は言う。

「全然狙ってなかったので(笑い)、まさかね、すごい奇跡的だなって思ってるんですけど」。

舞台の東京体育館は、シングル時代の07年の世界選手権で、日本男子初の表彰台となる銀メダルを獲得した場所。加えて、当時のフリーも「オペラ座の怪人」だった。

「終わった後にここにつながってたのかなって思えるような演技ができればいいなと思います」。

明るい表情をみせたが、さらに、運命を感じさせる状況も重なった。今大会は11位となった世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)から拠点の米フロリダには帰国せずに調整をしてきた。ズエワコーチは先に米国に戻っており、その勧めで、高橋のシングル時代の恩師の長光歌子コーチに、帯同をお願いした。

「断られるかなって思ったんですけど、『ちょっと(リンクサイドに)立ってもらいませんか』って聞いたら『喜んで!』と」。

16年ぶりの思い出の場所で、次々に記憶がよみがえるようだった。

村元は「自信を持って練習してきた。すごい楽しく練習できたので、今回この会場に入っても、すごい体も動いてますし、不安要素がない」と声を弾ませた。高橋も「良い意味ですごく力が抜けている。心のままで滑っているから、それがそのまま体に反映してくるなって、気持ち良く練習できてます」と呼応した。

2人で組んで3季目の最終戦。過去からいまへ、つながる演技でみせる。

◆世界国別対抗戦 8度目の開催となる国際スケート連盟(ISU)公認大会。世界6カ国が男女シングル各2人、ペア1組、アイスダンス1組の4種目8人で争う。各種目優勝は12点、2位は11点…と与えられ、合計点で優勝国を決める。日本の他に米国、カナダ、韓国、イタリア、フランスが参加。SP、フリー(アイスダンスはリズムダンス、フリーダンス)ごとに区切り、総合得点での順位は得点としない。各出場者(組)の総合得点はISU公認記録となる。