男子ウエルター級決勝は3月の全国高校選抜同級優勝の川村萌斗(開志学園3年)が同門の田辺伯(同3年)に2回21秒RSC勝ちし、2年連続で全国高校総体(インターハイ)出場を決めた。

川村は思いの詰まった拳を繰り出した。「田辺とは3年間切磋琢磨(せっさたくま)してきたので」。1回序盤、「前の手(右)をうまく使うことが全国での課題」と、右のリードを顔面にヒットさせて最初のダウンを奪う。2回は最大の武器の左ストレートで2度目のダウンを奪って試合を終わらせた。全国で勝ち抜くために磨いているパンチを、この試合で部活を引退する田辺へのリスペクトを込めてヒットさせた。

仁多見史隆監督(48)は「穴がないような形で鍛え上げられている」と言う。昨年3月に全国選抜徳島特別大会で初の全国制覇。10月の国体も制した。そして今年の全国選抜と、高校入学後、ここまで通算3つの全国タイトルを獲得。全国的に注目される存在に成長した。

ただ、インターハイの頂点には立っていない。昨年は準々決勝で1回RSCで敗れた。それをきっかけにがむしゃらなインファイトだけでなく、アウトボクシングもできるようにモデルチェンジ。その後は負けなしだ。自信の成長のきっかけにインターハイを「参加人数も多いし、高校の集大成の場」と位置付ける。

開志学園では21年のウエルター級・増田祐士(日大2年)、22年のライトウエルター級・六井和(拓大1年)と2年連続インターハイ王者が誕生している。2人とも川村と同じサウスポー。「一緒に練習した先輩たちに続いて(インターハイ優勝を)取りたい」と意欲をみせた。

 

◆川村萌斗(かわむら・もえと)2005年(平17)6月5日生まれ、村上市出身。ボクシングは5歳から村上ボクシングジムで始める。村上東中ではバスケットボール部に所属しながらボクシングに取り組む。中3のときに全日本UJ県大会で優勝。178センチ。