混合ダブルス決勝で加藤未唯(28=ザイマックス)ティム・プッツ(ドイツ)組が、ビアンカ・アンドレースク(カナダ)マイケル・ビーナス(ニュージーランド)組を4-6、6-4、10-6で破り、優勝した。

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恩師が、失格騒動にもめげない加藤の真っすぐな性格を明かした。加藤が小学校から高校まで所属した京都市内のパブリックテニス宝ケ池の野中貴弘コーチ(40)は、騒動の影響について「心配はしていない」。小学生の頃から正義感が強く、しっかりした性格。失格処分にも、教え子の強さを信頼し「(同クラブスタッフ)みんな応援してるから大丈夫やで」とメールでエールを送るにとどめた。

8歳で競技を始め、小学校3~4年生で同クラブに入部。ずっとストイックで「積極的に練習して、みんなを引っ張ってくれる子。向上心が高い子でした」。

多いときには練習場を毎日訪れて約3時間、汗を流す。練習後には約5キロ離れた自宅までの帰り道を走ってトレーニングにする徹底ぶりだった。「こちらとしては何も言ってないんですけど、自分で考えてよくやってました」。同クラブで力が飛び抜けており、仲間の刺激になる存在だった。

ただ孤高ではなく、面倒見も良かった。中学生になると積極的に下級生の練習相手になった。悔しさが力になるタイプの相手にはあえて厳しいボールを打ち込み、楽しんでやりたい相手には心が折れない程度のボールを送る。「相手にうまく合わせてのせて上げられる子だった。テニスは駆け引き。相手を見る力は今にもつながってるんじゃないかな」と懐かしむ。

野中コーチは「彼女はこれ(騒動)を糧に強くなれる子」。教え子の成長を、今後も地元・京都から見守り続ける。【竹本穂乃加】

◆加藤未唯(かとう・みゆ)1994年(平6)11月21日生まれ、京都市出身。8歳でテニスをはじめる。京都市立修学院小-立命館宇治中-立命館宇治高。出身クラブは「パブリックテニス宝ケ池」。プロ転向は13年10月。シングルスでは17年のジャパン女子オープンで準優勝、ダブルスでは穂積絵莉とのペアで17年全豪オープンでベスト4などの実績がある。最新の世界ランキングはシングルス410位、ダブルスは31位。156センチ。ザイマックス所属。

◆ティム・プッツ 1987年11月19日、ドイツ・フランクフルト生まれ。男子ダブルスでツアー通算7勝。22年8月にはダブルスで自己最高となる世界ランキング7位。185センチ。

◆放送 全仏オープンテニスはWOWOWで連日生放送。WOWOWオンデマンドでもライブ配信される。