フィギュアスケート女子の青木祐奈(22)が25日、来季の現役続行を明かした。都内で日大の卒業式に出席。白とえんじのはかま姿で学位記を受け取り、4年間の歩みを振り返った。

今後も千葉・船橋市を拠点とするMFアカデミーに籍を置き、中庭健介コーチ(42)の指導を受けながら高みを目指す。

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節目の卒業式を前に、青木は決断を下していた。友人と記念撮影を楽しみ、卒業生でにぎわうキャンパスの一角で思いを口にした。

「競技を続けようと思っています。所属はMFアカデミーでやることになると思います。学校名がなくなって、インカレとかもなくなって寂しいですけれど、やることは変わらないです。学校があった時間で出来ることを探して、今まで時間がなくて出来なかったダンスだったり、新しいことに挑戦したいと思います」

決断は3月中旬だった。飛躍した大学ラストシーズン。1月の国民スポーツ大会冬季大会でも「まだ決めていません」と明かしていた。2月下旬にはチャレンジカップ(オランダ)で209・37点をマーク。帰国後はインフルエンザにかかった。自分自身とも向き合いながら、将来を考えた。

「寝込んで、1週間ちょっと休んでいる間も、ずっと考えていました。まだやりきれていない気持ちが正直ありました。もちろん1年を通して、今までに比べたら、とてもいいシーズンになりましたが、自分の中では全日本(選手権)だったり、出すべきところで全ての力を発揮できなかった。長い人生でスケートはいつまでもできるし、コーチや振付師になることは、これからでもできると思います。現役選手っていうのは今しかできない。自分が『やりきれた』と思えるように、そう思って終わりたくて、また1年間、真剣に向き合おうと思います」

3月9日にはアイスショー「WASEDA ON ICE」に足を運び、多くの知人と言葉を交わした。

すごい1年だったね-。

そんな褒め言葉を喜ぶ一方で、自分の中では「まだ頑張れたところがある」と気づくことができた。グランプリ(GP)シリーズNHK杯に初出場し、全日本選手権は9位。それでも向上心は衰えなかった。続行の意向を中庭コーチに伝えると、師は喜んでくれた。

「私が引退するという意志だったら尊重するけれど、私がもし5:5で悩んでいるなら、続けることを勧めていた、とおっしゃっていました。(互いの思いが)一致してよかったです」

大学ではスポーツ医学のゼミに属した。卒業研究では女性スケーターの月経問題に向き合った。日本はもちろん、米国のスケーターなどにアンケートを取った。月経の周期の調整に使えるピルに対する知識が、日本は足りていないことも実感。研究をして発表した。

「専門的な医師から講習があれば、使いたい選手もいるかもしれません。アメリカは認知しているけれど、服用率は高くない。ドーピングや副作用の心配かもしれません。医師との安全面(の知識)のコミュニケーションがあれば、生理痛で苦しんでいる選手の助けにもなると思いました」

リンク内外での引き出しを増やし、22歳の苦労人は大学から羽ばたく。「今」を大切に、新たなチャレンジが始まる。【松本航】