フィギュアスケート女子で56年ぶりに世界選手権3連覇を達成した坂本花織(23=シスメックス)が、さらなる高みを目指す。

26日、カナダ・モントリオールから東京・羽田空港に帰国。ファンから「世界一!」と迎えられると、笑みと驚きが入り混じった表情を浮かべた。「3回目で慣れるかなって思ったんですけど、全然慣れなくて」と苦笑い。「でもめちゃくちゃうれしいです」と喜んだ。

世界選手権ではショートプログラム(SP)4位から逆転優勝を果たした。この日も「56年ぶりの偉業を達成することができてうれしい」と声を弾ませたが、同時に「現状のままではダメ。ちょっとずつレベルアップしていけたら」と早くも来季を見据える言葉も続けた。

今季の合計点のベストは、昨年10月のGP(グランプリ)シリーズ・スケートカナダでマークした226・13点。22年世界選手権で記録した自己ベスト236・09点には10点近く及ばず「そろそろ更新しにくくなってきている」と受け止める。

「今の構成のままでは、やっぱり今のままだと思う」

来季へは4回転ループの挑戦も視野に入れつつ、まずは今季フリーで1本だった3回転ルッツを2本へ増やす。

「ルッツとフリップを2本ずつ(計4本)入れたいなと思っている。それができれば、ちょっとだけでも基礎点が上がる」

その向上心の根底には、スケート界を引っ張る思いもにじむ。かつては世界選手権3度優勝の浅田真央さんらを見上げ、競技に打ち込んできた。その原体験も、自分を突き動かす。

「ジュニアも育ってきていて、シニアもみんな良い成績を残せる。日本は何年たっても強いんだぞと見せたい。自分たちは真央ちゃんたちの世代を見てきた。今度は自分たちがやる番。その波が次の世代につながればと思う」

世界女王としての使命感を胸に、歩みを止めない。【藤塚大輔】