<フィギュアスケート:世界国別対抗戦>◇初日◇19日◇東京・代々木第1体育館◇アイスダンスSD、男子SP、女子SP

 高橋大輔(26=関大大学院)が国際スケート連盟(ISU)公認大会のショートプログラム(SP)で歴代最高の94・00点をたたき出し、首位発進を決めた。4回転ジャンプを成功させ、11年世界選手権のパトリック・チャン(カナダ)の93・02点を上回った。

 点数が掲示されると、ちょっと照れたように笑った。高橋の自己評価は「ジャンプは成功。ステップはぐらついた」。でも結果は歴代最高点。「ちょっと出過ぎかな、日本ということで。ビックリしてます。お客さんが盛り上がってくれたからですね」。手応えと結果のギャップを埋めるように、ファンに感謝した。

 冒頭の4回転で着氷。3月の世界選手権では、その後に強引に3回転をつけてミスした。今回は「きれいに降りたらつけよう」。苦い経験を生かし、後半に連続ジャンプを回した。「想定していたから」と過ちを繰り返さなかった。

 今季の最大目標だった世界選手権を終え、「正直モチベーションが下がって、調整が難しかった」という。支えたのは、14年ソチ五輪で団体戦が正式種目に採用されたこと。「個人と違って、攻めるところと守るところがある。自分の勉強にもなるかな」。選手としての幅を広げる機会を前向きに捉えた。

 今季は4戦4敗だった絶対王者チャンを、順位でも上回った。今季の最後の試合で一矢報いる絶好機。「今日の点は来季につながるけど、明日が気合の入れどころ。自分自身のパーフェクトを目指していきたい。今日はとりあえずチームの後押しはできたかな」。正直なキャプテンは得点に浮かれず、己が進む道を見つめていた。【阿部健吾】