静岡聖光学院が56-7で浜松工を破り、3年ぶり5度目の優勝を飾った。「主体性」をテーマに、選手たちがあらゆることを判断し、栄冠をつかんだ。序盤はFW陣で得点し、後半はBKの守備にフォーカス。ライバルの浜松工を圧倒した。全国高校ラグビーの抽選会は12月2日、大阪で開催され、同27日、大阪・花園ラグビー場で開幕する。

終了間際の後半29分、静岡聖光学院は自陣深くまで攻め込まれた。だが、トライ瀬戸際でSO高成田光主将(3年)が食い止めた。その後、高成田がタッチに蹴り出し、ノーサイドの笛が鳴った。優勝回数と同じ5度宙に舞った佐々木陽平監督(41)は、思いを込めて言った。

「前半に相手にトライされた時は不安がありましたが、守備で前に出続けたのが良かったです。選手たちがよく頑張って、私の怨念も晴れました」

監督就任3年目で初の花園出場。昨年大会決勝は、勝利目前で東海大静岡翔洋に敗れたからだ。

その悔しさを晴らすために、新たなことを始めた。今年9月、「部活動サミット」を開催。広島の安芸南サッカー部や韮山写真報道部など分野の枠組みを超えて、練習時間の短縮や練習の効率化を図る意見交換をした。結果、安芸南が実践する選手たちが自主的に考え、指導者に提案する「ボトムアップ理論」を取り入れた。この日もハーフタイムに指揮官は円陣に加わらず、選手同士で話し合い、後半の戦術を決定。高成田が頬を緩ませて言った。

「前半はFWで攻めたので、『(後半は)BKで回せる』という意見もありましたが、守備の方に力を入れようと決めて臨みました。2年間、悔しい思いをしてきたので、全員が花園に行きたい気持ちを強く持っていました。今はホッとしています」

花園に前回出場の15年は、2回戦でシード校の国学院久我山(東京)に7-35で敗れるも、前半7-7と健闘した。当時中3で試合を観戦した高成田は「感動したのを覚えています」と振り返り、「今度は僕らが感動を与える番です。ベスト8を目指します」と力強く宣言した。【大野祥一】