昭和最後の王者が、平成最後の王者にもなる! 第98回全国高校ラグビーが27日、大阪・花園ラグビー場で開幕した。4大会連続37回目の出場となるBシードの常翔学園は30日から登場。明日28日行われる米子工業(鳥取)と、初出場である桐生第一(群馬)の勝者と対戦する。

目標は明確。6大会ぶり日本一にロックオンした。

ロック梁本旺義(なやもと・おうぎ)主将(3年)は「もちろん、目標は日本一です。そこを目指してやってきたので。平成最後の大会で優勝して終わりたい」と語気を強めた。

理由がある。88年度の決勝は大工大高(現常翔学園)-茗渓学園(茨城)の対決だった。オールドファンには、忘れられない89年1月7日。当日…。昭和天皇崩御により両校優勝。「幻の決勝戦」となり、先輩たちは「昭和最後の王者」となった。平成が終わる今回は自分たちが-。30年の時を経て「平成最後の王者」もつかんでみせる。

チームの持ち味は「FWからの攻撃。縦の突破力を見てほしい」と梁本。180センチ90キロのたくましい体から堂々宣言だ。セットプレーに自信を深めて花園にやってきた。「スクラムは日本一の自信がある。絶対に押し負けないようにしたい」。大阪府大会予選決勝では、昨季日本一の東海大付属大阪仰星高を54-7で破った。勢いよく、日本一への道を突き進む。

勝つために、地道な研究も重ねてきた。「メンバー中心に相手の映像も見てきました。勝てば次の相手も見ます。自分たちは、いろんな攻撃を仕掛けて戦いたい。1つずつ進んで行くだけ」。豪快さだけでなく、緻密な作戦も練ってきた。

春の選抜は出場を逃した。そこからの猛練習で、濃紺と赤のジャージーを、ひたすら汗でぬらした。昭和から平成に時代が変わっても、目指すべき場所はひとつ-。踏み出す足に、自信を持つだけだ。【真柴健】