日本ラグビー協会は18日、W杯開幕のロシア戦(20日、味スタ)に臨む日本代表登録メンバー23人を発表した。

8月の北海道・網走合宿で左足首を捻挫した姫野和樹(25=トヨタ自動車)が先発NO8に名を連ね、W杯デビューが決定。史上初の8強へ、推進力に優れた「日本ラグビー界の至宝」が追い風を生み出す。

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姫野の柔らかい表情に、強い使命感がにじんだ。雨の中の調整を終え、移動した都内ホテル。フラッシュを浴びながら会見場の席につき、ぐっと胸を張った。「プレッシャーがあった方がいいプレーができる。試合に対して、ワクワクしている状態です」。明日に迫るW杯開幕戦を、純朴な少年のように待ちわびた。

8月下旬に左足首を捻挫。フッカー堀江から「神様がくれた休息やと思え」と声をかけられ、パワーを蓄えてきた。帝京大3年だった15年には、日本代表がW杯で南アフリカを破る歴史的瞬間を寮で見た。「1度合宿に呼んでもらった。『もし、ケガしていなければ入れたのかな』という悔しさがこみ上げてきた」。国を背負い、W杯で戦う目標は明確になった。トヨタ自動車では1年目から主将を務め「心技体でかなり成長できた」と自信を育んだ。

今季のテストマッチ先発は7月27日フィジー戦のみ。故障明けのリーチ主将に試合時間を与える意図があり、ジョセフ・ヘッドコーチは「不運だった。彼を犠牲にしたが、今回は先発でポジション争いが高まる」説明した。プロップ稲垣からは「プレーで引っ張ってくれる。彼が勢いをつけてくれると、その後チームがスムーズに進む」と評され、力強い突破と密集での仕事に懸かる期待は大きい。

愛知でのびのびと育った男は、子どもたちへ「日本人でもやれる」と伝えることが使命と考えてきた。「ボールを持ったら、必ず前に出る」。ロシアの重量FWを押し込み、新しい日本の象徴となる。【松本航】

◆姫野和樹(ひめの・かずき)1994年(平6)7月27日、名古屋市生まれ。愛知・春日丘高1、2年時に花園出場。帝京大で大学選手権8連覇などに貢献。17年にトヨタ自動車に加入し、1年目から主将。17年11月のオーストラリア戦で日本代表デビュー。ポジションはロック、フランカー。187センチ、108キロ。