郡山北工が22-7で前年覇者の聖光学院を下し、2年ぶり4度目の花園出場を決めた。

前半16分にラックからフッカー大塚一郎(3年)が先制トライ。後半7分には右への展開からFB渡辺陽仁(3年)が独走しリードを広げた。同23分にプロップ菊池凜太郎、同28分にもSH斎藤健人(ともに2年)がトライを決めダメを押した。

全国高校ラグビーは12月27日から東大阪市の花園ラグビー場で行われる。

   ◇   ◇   ◇

重量FWに最後まで果敢に立ち向かった選手たちの姿に、郡山北工・小野泰宏監督(50)は涙をこらえきれなかった。「素人のへたくそ連中が頑張った。ググッときてしまった」。中学時代の経験者は1人。4度目の優勝で初めて感極まった。聖光学院FWの平均体重92キロに対し同80キロ。2人がかりや鋭く低いタックルで対抗し、ゴール前のラックから3トライを奪うなど体格差を感じさせなかった。

4連覇を狙った昨年度は初戦敗退。NO8望月誠志朗主将(3年)は「絶対に花園に行くと経験者の3年生が体を張ってきた」。新チーム始動後は東京の強豪・目黒学院と6度の合同練習を行ってきた。「トンガ人留学生とぶつかることを考えると憂鬱(ゆううつ)になったけど、あの強さを経験すればたいていは怖くなくなる」と厳しい練習に耐え、リベンジを果たしてみせた。

台風19号の影響でSO二瓶学斗(3年)の自宅が床上浸水の被害にあった。直後に3年生全員が駆けつけ、泥の除去などを手伝った。「本当にビックリした。うれしかった」。司令塔はすぐに練習に復帰。ピッチ外でも当たり前のように「ONE TEAM」を実践した。二瓶は1年生の花園では、開会式直後の練習試合で右腓骨(ひこつ)を骨折しピッチに立てなかった。「悔しかった。今年こそシード校を倒したい」と2年越しのプレーを待ち望む。

前回大会は和歌山工から花園初勝利。土佐塾(高知)には終了間際に同点トライを奪って抽選で3回戦に進出、県勢21年ぶりの年越しを果たした。3回戦では「西の横綱」東福岡に101失点もロスタイムにトライを奪い一矢報いた。「あれはすごい自信になったと思います」(小野監督)。望月主将は「花園の雰囲気は全然違った。ほとんど記憶がない。今回はしっかり記憶に収める活躍をしたい」と地に足付けて夢舞台に挑む。【野上伸悟】