<大相撲春場所>◇7日目◇21日◇大阪・大阪府立体育会館

 横綱朝青龍(28=高砂)が、「角界の22歳トリオ」最後の関門を突破した。新関脇稀勢の里(22)をもろ差しから一気の寄り倒しで破って7戦全勝。4日目の栃煌山、5日目の豪栄道に続き、期待の日本人若手力士に力の差を見せつける完勝劇で、22日の中日に勝ち越しをかけることになった。

 主役の座を、次世代へ渡すわけにはいかなかった。稀勢の里の鋭い踏み込みをまともに受け止めた朝青龍に、焦りはまったくない。ガラ空きだった相手の脇に両腕を2本差して一気に土俵外へ。「今場所一番の内容か?」の問いに、声を出さずにうなずいた。これで栃煌山、豪栄道に続き、将来を期待される「22歳トリオ」をすべて5秒以内の瞬殺。全勝をキープした。

 心は熱く、頭はクールだった。稀勢の里は、朝青龍にも気後れせず、闘志をむき出しにしてぶつかってくる数少ない若手。この日も仕切りの際、執拗(しつよう)ににらみつけてきた。朝青龍は「にらまないでくれと思った」と冗談交じりに笑い、「やっぱ熱くなるよね。大事なことだよ。若手でもあのぐらいのガッツがないとね」と続けた。相手の気迫に闘争本能スイッチが入ったのだ。一方で「(相手の立ち合いが)かち上げだったでしょ?

 来るって分かってたよ。ひじが顔の前に来るのがスローで見えたから」。冷静に動きを見切っていた。

 総合格闘家の吉田秀彦がマス席で観戦していた。以前から電話やメールで連絡を取り合う仲で、支度部屋でも笑顔で談笑。引退がささやかれていた今年1月4日に「戦極」を観戦し、実際に朝青龍の元へ格闘技界からのオファーが届いたこともあった。だが、この日は吉田に「万全だよ。気合いも入っているしね」と言わしめる内容。格闘家転向の話を封じ込めるには十分だった。

 「荒れる春場所」といわれるが「全然、荒れないよね。オレが横綱になってから」とおどけてみせる。横綱昇進後、初日から7連勝した場所は17場所中16場所で優勝、94・1%というV確率だ。ライバル白鵬の相撲を「全然、危なくないよ。落ち着いて見ている」と“解説”する余裕も。24回目の賜杯は着実に近づいてきているようだ。【山田大介】