日本相撲協会が八百長問題で実施未定だった夏場所(5月8日初日、東京・両国国技館)の通常開催を見合わせ、一般に無料開放する方向で開催を目指していることが26日、分かった。協会関係者が明かした。開催期間、会場、土俵入りなどは通常通りだが、懸賞や外部表彰は辞退する意向。当初の夏場所前売り開始予定日4月9日前の発表を目指している。

 同関係者は「慌てて夏場所を開催するよりも、名古屋場所からの通常開催を目指すという協会幹部は多い」と明かした。夏場所は新番付編成のための「技量審査」の場として15日間、通常通りに取組を行う。史上最長に並ぶ7連覇に挑む横綱白鵬、元横綱千代の富士の史上最多1045勝にあと10勝と迫っている大関魁皇をはじめ、あらゆる記録は反映させたい意向という。

 八百長問題で今月の春場所(大阪)が中止となった。問題解明を進める特別調査委員会は、関与を認定した20人前後に、4月1日の次回会合で除名や出場停止などの処分を下す見通し。そのため協会内で「(夏場所を開催した場合)従来通りの金額をもらっていいのか」などの声が相次いでいる。売り上げの一部を、東日本大震災の義援金に寄付する案なども上がったという。

 今回の無料開放は協会が目指す公益財団法人に向けても好材料で、監督官庁である文部科学省も賛同する可能性が高い。別の関係者は「相撲を見たことがない方にも見てほしい」と事前にはがきなどで希望者を募り、抽選で入場券を配布したい意向。相次ぐ不祥事による悪印象からの逆転の一打となるか注目される。