2場所連続の全勝優勝を果たした大関日馬富士(28=伊勢ケ浜)が来年4月にモンゴルで警察官の資格を得ることが24日、分かった。モンゴル警察大学の通信教育を受けており、あと半年で修了する。この日、東京・両国国技館で行われた横綱審議委員会では、満場一致で横綱昇進を推挙された。明日26日の九州場所番付編成会議と理事会で、日馬富士は第70代横綱に正式に昇進する。来年には、史上初めて、警官資格を持つ横綱になる。

 日馬富士が、もう1つの夢を実現させる時が迫ってきた。10年10月にモンゴルの警察大学に入学。卒業まで何年かかるか分からなかったが、めどが立った。

 日馬富士

 来年4月で終わる予定。卒業できれば、警察官の資格が取れます。同級生は、20人くらい。ネットを通じて、先生から出る課題をこなしています。

 最近2場所は、特に相撲に集中してきたが、空き時間は勉強にもあてた。最近では、日本とモンゴルの法律の違いを比較。日本の弁護士を頼って、勉強した。リポートは、メールで提出。今場所前、モンゴルに帰国した際には、大学に顔を出したという。

 06年末に交通事故死した父ダワーニャムさんは、警察幹部だった。父の教えを守る日馬富士らしく、力士を続けながらも、父の背中を追っていた。伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も横綱昇進後、中退していた近大に入り、卒業した。師匠譲りの文武両道になる。

 横審では、満場一致で横綱に推挙された。心境を問われると「まだ何が何だかよく分からないです」と答えた。明日26日の伝達式で述べる口上は、師匠やおかみさんに相談する。大関昇進時に用いた「全身全霊」について、伊勢ケ浜親方は「それは入るんじゃないですか。それは、本人らしいと思います」と話した。

 この日はテレビの情報番組に生出演。今日25日以降の出演依頼も相次いでいる。伝達式の生中継を検討し始めたテレビ局も出てきた。ビデオリサーチの調べによると、大相撲中継千秋楽の平均視聴率は関東地区で17・7%、瞬間最高視聴率は24・4%。日馬富士が、白鵬を破った場面で記録した。

 28日の横綱奉納土俵入り(東京・明治神宮)で使う三つぞろえの化粧まわしは、部屋の地下室から引っ張り出された。綱に入れる麻は、部屋関係者と若い衆が栃木県から運搬した。倍以上の8人になる付け人は、同じ一門の春日山部屋から3人程度、借りる予定。綱を締めるための準備は、着々と進んできた。

 会見で、「綱の重み」を聞かれた日馬富士は「これからもやれることをしっかりやって、自分らしく生きていきたい」と話した。警官資格を持つ横綱なら、まさにオンリーワン。高見盛のロボコップならぬ、綱コップとして、角界の平和を守っていく。【佐々木一郎】