綱とりは「東京」で決める。日本相撲協会は24日、初場所(来年1月12日初日、両国国技館)の新番付を発表。自身2度目の綱とりに挑む大関稀勢の里(27=鳴戸)は千葉・松戸市内の部屋で会見し、裏切り続けた「期待」に応えることを約束した。綱とりの目安は13勝以上の優勝。果たせば地元で待望のパレードも待つ。環境に慣れた東京場所で、悲願を成就させる。

 稀勢の里は苦い過去を、目を背けることなく受け止めていた。「期待を裏切り続けていますので、何とか応えられるよう頑張りたい」。「裏切り」という言葉をあえて口にした。それが、決意の表れだった。

 2度目の綱とり。半年前の名古屋場所とはどこか落ち着きが違う。それは環境に慣れた東京で迎えられること。名古屋で初挑戦の際は「地方は1年に1度で環境が違う。いつもと一緒は難しい」。食事などの誘いも多かった。だが、東京場所では規則正しい生活を貫ける。優勝すれば、1度は立ち消えになった松戸市内でのパレードも実行に移せる。故郷茨城・牛久市から多くの応援も来る。「名古屋でいつもと違うプレッシャーを経験して、11勝できたことは本当にいい経験。しっかりやりたい」。東京でさらに、その上を行く。

 験もいい。最後の日本人横綱となった3代目若乃花から5人連続、東京で昇進。さらに初場所は年6場所制となった58年以降、横綱26人中、最多の8人が決めている。稀勢の里も東京場所の勝率は6割1分2厘で、地方場所を3分上回る。先代師匠の元横綱隆の里が決めたのと同じ2度目の挑戦。「全部、出せるようにしたい」と力を込めた。【今村健人】