いわゆるクローザー、うしろを任せられる投手が、セ・リーグで今、一番欲しいのは広島でしょう。ここが安定すればもう少し勝てるはず。逆に同じ低迷しているにしても、阪神はその部分は問題ない。言うまでもなく呉昇桓がいますから。先日、体調を崩していたようですが、26日の試合前には元気な姿を見せていました。

 何の話かといえば、もちろん、藤川球児の話題です。レンジャースを自由契約になり、現在、国内外どこの球団とも交渉できるという。もちろん古巣である阪神も注視しています。

 球児は、なんというか、気持ちのいい男です。阪神在籍中、「JFK」時代の力投はもちろん、このチームの生え抜き選手にはめずらしく、自分の考えをハッキリと口にする態度が心地よかった。

 そんな球児をこの2月、少しだけ取材しました。2年前右肘靱帯(じんたい)断裂で修復手術(トミー・ジョン手術)を受け、14年8月に復帰。しかし思うような起用法もなく「引退を考えた」と言いました。

 渡米前のその取材時、「今はそんな気持ちはありませんよ。そんなんでいけるはずないし」と明るい表情で話していただけに、今回の事態はつらく感じます。

 さて、その球児について阪神ファンは、もう古巣に復帰するものと決めているのでしょうか。もちろん、阪神は調査を進めていますが、ここで言っておきたいのは、もし獲得オファーを出さなくても、別に阪神が冷たいわけではない、ということです。

 何も決まらないうちから球団を擁護するつもりはありませんが、過去、日本から大リーグに渡った選手が国内復帰する際、古巣でないチームに戻るケースは普通のことです。

 阪神には元中日の福留がいるし、過去に元ホークスの城島も所属していました。中日、ソフトバンクのファンからすれば複雑な思いだったでしょうが、その時々の事情からそうなったわけです。

 虎党からすれば、ベストは復帰してバリバリ活躍してもらうことでしょう。でも球児が引退を決めた場合はもちろん、国内の他球団に行ったとしても、それはそれで仕方がないこと。

 最初に書いた広島が球児を獲得することは、チームの特性からいってないと思いますが、阪神が獲得オファーを出さなかったとしても、いろいろな条件を考えた上での決定で、別に「冷たい」とか言う問題ではないはずです。

 今は、火の玉ストレートで我々を楽しませてくれた球児の選択を待ちたいと思います。