阪神は2年目の嶋村麟士朗捕手(22)が中押しのプロ初本塁打を放ち、6日ぶりの首位奪回に導いた。
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嶋村にはルーティンがない。練習中や試合前に自分との約束事はあえて決めないようにしている。「ルーティンがないことがルーティンみたいな。崩れて打てないと嫌なので」。それでもルーティンを超えた日常生活の一部になっている行動がある。
「おさらいみたいな感じで常に見てます」。メジャーMVP2度の強打者、フィリーズのブライス・ハーパーのホームラン集の動画だ。メジャー好きは公言済み。打撃フォームもハーパーに寄せている。ただ好きだからではない。重心移動や胸椎(きょうつい)、骨盤の動きを見て、可動域の広い自分ならマッチすると考えた。スムーズな体重移動を実践して効果も実感している。
頭の中のハーパーが薄れてくれば、その都度脳裏に焼き付ける。「イメージが消えてきだした時にもう1回見て『あぁ、そうや、こんな感じやったね』って思い出す感じです」。1軍では代打や途中出場が続く。実戦感覚はあらゆる隙間時間で埋めてきた。
藤川監督は言った。「ここから努力を重ねて素晴らしい選手になっていってもらわなければ」。一流を見学してきた時間が実り始めてきた。【只松憲】
◆嶋村麟士朗(しまむら・りんしろう)2003年(平15)7月13日生まれ、高知市出身。潮江東小4年から潮江東スポーツ少年団で野球を始める。潮江中では軟式野球部。高知商では主に内&外野手。福井工大を中退し、22年8月に四国IL高知入団。24年育成ドラフト2位で阪神入団。1年目の昨季は2軍で58試合に出場して、打率2割6分6厘、1本塁打、22打点。177センチ、90キロ。右投げ左打ち
▼この日の阪神は高寺が先頭打者本塁打、嶋村が代打本塁打、森下が満塁本塁打をマーク。同一試合で先頭打者、代打、満塁の3種類の本塁打を記録したのは、54年4月28日巨人(先頭・与那嶺、満塁・南村、代打・柏枝)74年5月10日巨人(先頭・高田、満塁・矢沢、代打・柳田)03年5月2日近鉄(先頭・大村、満塁・大村、代打・益田)に次いでプロ野球4度目。03年の近鉄は3種の本塁打に加え、ローズのサヨナラ本塁打も飛び出している。



